北上・西和賀

北上産バナナ収穫 無農薬栽培、皮ごとでも ごろすけACファーム

北国の北上市で実を付け、収穫時期を迎えたバナナ。15センチ以上に育った緑色の実をチェックする大澤代表取締役

 北上市相去町の農業法人・ごろすけACファーム(大澤啓造代表取締役)が、市内で無農薬栽培に取り組むバナナが初めて実り、収穫時期を迎えている。9月末から収穫を開始し、追熟を経て13日以降に初出荷される。北国育ちのバナナは希少価値が高く、市のふるさと納税の返礼品にも登録。今シーズンは2020年2月ごろまで収獲できそうで、同社は「バナナを話題に一家だんらんにつながればうれしい」と消費者の反応に期待している。

 同社は約1メートルのバナナ苗42本と培養土を岡山県の農業法人から購入し、2018年9月に同市平沢の圃場(ほじょう)に整備した2・4アールのビニールハウス内に定植。冬場は暖房を使って室温を最低17度に保った。

 室温は現在も30度を超す日があるほど暖かくハウスの中は南国そのもの。青々と大きな葉を付けたバナナが4メートル以上に成長し、木1本に平均で170本ほどが実っている。緑色の実は長さ15~20センチほどに成長し、房が幾重にも連なっている。

 大澤代表取締役(70)は、9月30日と10月1日に約200本を初収穫。商品は憧れを持つ縄文文化と生産地である北上とのつながりにちなんで「北上縄文実芭蕉(きたかみじょうもんばなな)」と命名。盛岡市内にある室での追熟を経て消費者へ届ける。

 無農薬栽培のため皮ごと食べられるのが特徴で、大澤代表取締役は「北国の北上で実際にバナナが実ることを証明できた。味や栄養価、皮ごと食べられるという特徴を理解いただき、バナナを話題に家族のだんらんが生まれてくれればうれしいし、子供たちの笑顔を見たい。より満足していただけるよう模索しながら皆さんの期待に応えたい」と今後の展開にも意欲を示した。

 生育が順調に進めば今シーズンは約7500本収穫できる見通し。苗は3年間に5回収穫できるということで、3年間に計約3万8000本の生産を見込んでいる。

 同ファームは苗栽培支援のメンバーシップ制度を立ち上げ、1口2万円でバナナ20本を提供。問い合わせは大澤代表取締役=090(8179)8664=、メールアドレスはcorpus@hh.iij4u.or.jp。市のふるさと納税の返礼品にも登録され、同市口内町の産直施設「あぐり夢くちない」=0197(69)2200=は1本1000円で予約販売している。

 ごろすけACファームが栽培しているのは、半世紀前まで世界的に主流だった「グロス・ミシェル」という品種で、濃厚で甘みが強いのが特徴。購入した苗は、この種苗を特殊な液体に浸し冷凍庫で約半年かけ氷点下60度までゆっくり冷却し解凍してから育てた、「凍結解凍覚醒法」と呼ばれる手法で育成されたもの。耐寒性を備えるほか、生育速度が飛躍的に向上し病害虫への耐性も高まるため、無農薬栽培が可能となって皮まで食べられるという。

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