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日本4強ならず 南アフリカに3-26

南アフリカに敗れ、相手選手と健闘をたたえ合う日本=20日、東京スタジアム

 ラグビーのワールドカップ(W杯)日本大会で20日、日本は東京都調布市の東京スタジアムで行われた準々決勝で2度の優勝を誇る南アフリカに3―26で敗れ、初のベスト4進出はならなかった。前半は粘り強く戦い、3―5で折り返したが、後半の終盤に2トライを許すなどして力尽きた。

【8面に関連】

 日本は1次リーグA組で強豪のアイルランド、スコットランドを破って4連勝。同組1位で通過し、初の8強入りを果たしていた。

 日本は1987年の第1回大会から9大会連続で出場。91年のジンバブエ戦で初白星を挙げて以降は勝利から遠ざかった。2015年の前回イングランド大会で南アを破り、24年ぶりの白星を挙げて3勝1敗と躍進。しかし、勝ち点の差で8強入りは逃した。

成熟した「大人のチーム」 さらなる進化

 大会中、ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)が日本の確かな成長を感じた瞬間がある。宿舎のチームルーム。誰かの指示がなくても、選手が2、3人のグループでたびたび集まり、パソコンを見ながら細かな役割や相手の分析に時間を割いている。自主性―。これは一貫して指揮官が求めていたものだった。

 長谷川スクラムコーチは当初、「どれだけ選手に伝えられるかが重要」と、細部に至るまで指導していた。だが、ジョセフHCに言われた。「もっと選手に任せろ。選手自身で修正できるように」。今ではハーフタイムでコーチが指示する前に、選手がスクラムの修正点や組み方を話し合って決めているという。

 もちろん、一朝一夕にできたわけではない。リーチ主将は最初、ジョセフHCの手法に疑問を抱いていた。ジョーンズ前HCの規律を重んじる厳しい指導法の方がいいのではないかと思った。だが、何度も話し合い、時に衝突しながら、ジョセフ流は浸透した。

 南アフリカに勝って世界を驚かせた4年前。SHの田中はあえて嫌われ役となって仲間に奮起を促した。だが、今はそんな姿勢は見せない。「みんな意識が高い。世界を見ている。僕が何か言う必要がない」

 指揮官が求めた「大人のチーム」は成熟した。ジョーンズ前体制が築いた土台に、幅広い戦術と「自主性」という新たな文化を植え付けた。慢心のない南アという巨大な壁に挑み、乗り越えた。そこには、さらなる進化があった。【時事】

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