一関・平泉

震災の記憶未来へ刻む 花泉・陶芸家 井上哲治さん 般若心経、皿に込め 金沢小児童が制作協力【一関】

皿に般若心経の文字を書き込む金沢小の6年生

 東日本大震災の記憶の風化防止と復興支援を目的とした皿作りが、一関市花泉町を中心に進められている。同町金沢の陶芸家・井上哲治さん(62)が震災発生後から継続している取り組みで、皿には鉄棒で1枚に1字ずつ般若心経が刻み込まれる。今年は自身だけでなく、地元の小学生らにも文字を刻み込んでもらう。完成品は販売され、売上金は「みちのく未来基金」に寄付される。

 皿は直径約20センチの焼き締め。宮城県南三陸町の防災対策庁舎、石巻市の大川小学校の旧校舎の鉄片を筆代わりに使用し、「苦」「死」「波」などを除外した般若心経278文字を裏面に1文字ずつ入れていく。

 井上さんは15日に地元の金沢小学校を訪問し、6年生12人に制作を依頼。「失敗しても、下手でも構わない。無心で書いてほしい」と呼び掛け、児童たちは震災復興への思いを込めながら皿の裏側に文字を刻んでいた。

 千葉琉生君は「難しかったけど、間違えずに書くことができた。みちのく未来基金で被災した人たちが幸せになってほしい」と願っていた。

 「震災を忘れてしまうことが一番いけない」と井上さん。今後も町内外の小学生らに協力してもらいながら、震災発生から10年となる2021年に全てを完成させる予定。皿は関東などの展示会で1枚3000円で販売するという。

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