雨ニモマケズ金賞輝く 国際コン3冠達成 吉池さん開発のバラ【花巻】
優れたバラを選抜、表彰する「第17回ぎふ国際ローズコンテスト」で、花巻市石鳥谷町の吉池貞蔵さん(88)が開発した品種「雨ニモマケズ リバーシブルピンク」が最高の金賞に輝いた。今回の結果により、バラの新品種を競う国内三つの国際コンクール全てで金賞獲得を達成し、吉池さんは「いつか欲しいと思っていた。今後もこれに劣らないもの、超えられるものを作っていきたい」と宿願成就を喜んでいる。
岐阜県などが主催する同コンテストは、世界各地の育種家が保有する優れた特性を持ったバラや新しく育成されたバラを対象としており、病虫害耐性や花の美しさ、開花の連続性、香り、葉と花のバランス、樹勢などを審査した。
「雨ニモマケズ―」は、吉池さんが10年ほど前に作った「ノースフレグランス」と、丈夫で育てやすいフランスの品種「ブラッシングノックアウト」を掛け合わせた。ともに薄いピンク色だが、新品種は花びらの表側が濃いめのピンク、裏側が白っぽいピンクで、大きめの花や花びらの多さはノースフレグランス、花付きが良くて長く楽しめ、病気に強い点はブラッシングノックアウトの特長がそれぞれ出ているという。
長野県出身の吉池さんは千葉大卒業後、盛岡農業高校教諭を務めたほか、北上市の県園芸試験場、花きセンターで園芸指導に携わり、本県のリンドウ生産を支えた。60歳を過ぎて本格的にバラの育成をスタート。2003年に石鳥谷町に移り住んでから育種と栽培技術向上に力を入れ、自宅敷地内では200種、2000株のバラを育てている。
これまでに花形などがメインの「JRC新品種コンテスト」(東京都)、「国際香りのバラ新品種コンクール」(新潟県)では金賞を獲得していたが、病気に強い品種、年間咲き続ける品種などを重視する「ぎふ国際ローズコンテスト」は銀賞2回が最高だった。
吉池さんは「自分が作ったバラを人に見てもらったり、他の人に気に入って育ててもらうのが育種のやりがい。岩手らしい名前を付けた『雨ニモマケズ』のシリーズとして、今後は他の色の品種改良も取り組みたい」と意欲を新たにする。