一関・平泉

ふわmochi 硬くならない特許製法で餅食文化を未来につなぐ

「ふわmochi」は餅粉由来や砂糖入りではなく、もち米からついた餅。えび、ずんだ、しょうがなどに味付けした商品もある

 保存料無添加なのに、自然解凍するだけでつきたての軟らかさが3日以上長持ちする餅が餅のまち・一関で誕生し、通販の商品や外食のメニューに採用されて人気を集めている。商品名は「ふわmochi(もち)」。一関っ子がこだわる“もち米由来のつきたて餅”が、新技術によって全国に広がっている。

つきたて食感が3日以上 有名シェフも注目

 一関市の大林製菓が、同市萩荘にある岩手県南技術研究センターと2017年に共同開発。温めなくても軟らかく、冷たくなっても硬くならないのが特徴で、19年に製法特許取得。つきたて食感が続くのは、餅に含ませたウルトラファインバブル水(ナノバブル)の働きでアミロペクチンの凝集(=餅の硬化)が進みにくくなるため。餅そのものは地元産のもち米を蒸かしてついた無添加食品。食べればしっかりとした餅の味がする。

▲ふわmochiを使い、大林製菓が提案する調理例。温める手間がなく冷やしても軟らかいので使い方いろいろ
▲便利なトレー入りの一口サイズ(JALに採用されたよもぎ餅)

 冷凍で流通に乗せ、地元の飲食店、全国のホテル・旅館へと販路を拡大。有名シェフに注目されたのを機に、昨年春にはJAL国内線ファーストクラスのデザートに採用され、サンマリノ共和国など、海外での晩餐会にも使われた。フルコースの前菜、天ぷら、パフェのトッピング、パンの具など、温かい料理から冷たいスイーツまでさまざまな形に料理され、舌の肥えたグルメたちを楽しませている。

創業から90余年 餅に新しい価値を
▲代表取締役の大林学さん

 大林製菓は1926(昭和元)年、旧中里村の大林家がまんじゅうの行商から創業。時代に合わせて商品や売り方を変えながら、主に業務用の餅や団子を作る素材メーカーとして技術力を発揮している。現在のところ自社店舗は持たないが、ふわmochi以外の一般的な餅や団子は一関市内のスーパーで販売している。

 代表取締役の大林学さんは信用金庫勤務などを経て家業に入り、餅つき機更新のタイミングで「何か人の役に立つ新商品を作りたい」とふわmochi開発に乗り出した。「餅に時短や安全性などの新しい価値を持たせたかった。消費者に手に取ってもらえる商品を作ることで、餅食文化の継承に貢献できれば」と語る。

ふわmochiメンチ 地元でブレーク
▲昨年の「全国ご当地もちサミット」(台風のため中止)にもエントリーした「ふわmochiメンチ」

 同社が次に手掛けるのは、同じ製法を応用し常温保存できる「熱湯ですぐに軟らかく戻る餅」。これを細かく刻んで肉だねに練り込んだ「ふわmochiメンチ」を先行して商品化し、一関市内の山平、らんたん、こまつの居酒屋3店舗で提供している。以前から同社の餅を使っている「居酒屋こまつ」は昨年夏からふわmochiメンチをメニューに入れたところ、一度注文した人がリピートするなど大好評。店長の小松清隆さんは「餅が肉汁を吸収しておいしさに相乗効果が生まれている。県外から来るお客さまも多いので、一関のいい物を出せるのはうれしい」と反響を喜ぶ。小松さんによると、「餅は苦手だがこれは好き。母国に持って帰りたい」と絶賛した外国人観光客もいたという。アレンジ自在のふわmochiが新たな餅ファンを開拓する。

〔問〕居酒屋こまつ
住/一関市大町6-20
電/0191・23・5744
営/17時~22時
休/日曜、元日

〔問〕大林製菓
住/一関市山目町1-7-12
電/0191・26・4005
※ふわmochiの購入はお問合せください

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