肌で感じる東北の魅力 米国、豪州出身者モニターツアー 祭り参加、郷土食作り【平泉】
平泉観光協会と世界遺産平泉・一関DMOが中心となり実施する米国、オーストラリア出身者を対象としたモニターツアーは20、21の両日、平泉町などで行われた。東北運輸局と東北観光推進機構がインバウンド(訪日外国人旅行者)増加を狙いに進める「訪日グローバルキャンペーン」の一環として企画され、祭りへの参加や郷土食作りなどの体験プランは今後3月までにデータベース化して広く情報発信される。
欧米を中心に東北を一体的に売り込むナイトモーニングコンテンツ事業として認定されたもので、米国出身のウィリアム・クィンラン・フェリスさん(43)=盛岡市在住=とオーストラリア出身のハラムズ・ジェシカさん(31)=仙台市在住=の2人が参加。20日は平泉ホテル武蔵坊で夢灯(あか)り作りに挑戦したほか、毛越寺で行われた常行堂二十日夜祭に参加した。
二十日夜祭では本講信徒の祈祷(きとう)に同席して精進料理を会食後、フェリスさんが厄男と同じ下帯姿になって献膳行列に加わった。燃え盛るたいまつを互いにぶつけ合う火たきのぼりや蘇民袋の争奪戦を実際に体験したフェリスさんは「岩手の蘇民祭は知っていたが参加したのは初めてで、男らしく激しい祭りにすごく興奮した。下帯姿には最初抵抗を感じたが、日本の伝統ある祭りに参加できていい経験になった」と語った。
21日はジェシカさんが町内の史跡を自転車で巡ったほか、はっとや餅など地域の伝統食を体験。同町の「体験Cafe WA」でははっと汁作りに挑戦した。
同店の佐々木久美さんから小麦粉の練り方や、引っ張ってちぎりながら鍋に入れるなどのこつを教えてもらい、最後にネギやニンジン、油揚げなどと一緒に煮込んだはっと汁をおいしく味わった。ジェシカさんは「はっと作りは小麦をちぎって入れるところが面白い。日本食の作り方を学ぶ機会は少ないので、このような体験を通して多くの国に日本食が広がるきっかけになればいい」と語った。
同事業は平泉のほか宮古、宮城県の気仙沼、青森県の青森、十和田の5地域で実施。ツアー内容は精査しながらデータベース化した後、海外の旅行会社などにも魅力ある観光コンテンツとして発信していく。