一関・平泉

貴重な文化財守れ 毛越寺、中尊寺で防火訓練【平泉】

中尊寺特設消防隊により行われた金色堂一帯への延焼を防ぐ警戒放水

 「文化財防火デー」の26日、世界文化遺産に登録された平泉町の毛越寺や中尊寺で2020年文化財防火訓練が行われ、消火活動や火災防御、観光客の避難誘導訓練などを通して貴重な文化財を火災などの災害から守る手順を確認した。

 町消防団をはじめ一関西消防署、両寺の消防隊、町役場特設消防隊、町婦人消防協力隊、自主防災組織などから約400人が参加。異常乾燥と強風下の午前8時30分に毛越寺の厨房(ちゅうぼう)、9時20分には中尊寺旧覆堂北側付近からそれぞれ出火したとの想定で行われた。

 このうち毛越寺には同寺自衛消防隊と一関西消防署、同署平泉分署のポンプ車が駆け付け消防ホースを連結して火元へ向け放水。役場特設消防隊は本堂への放水で延焼を阻止したほか、消防団は河川や池からの中継送水と付近一帯の警戒放水、倒壊建物からの逃遅者救出活動に当たった。

 中尊寺では延焼の恐れがある金色堂付近一帯で同寺特設消防隊と一関西消防署が警戒放水。同署平泉分署と消防団は火元への放水や消防ホースを連結して旧覆堂や本堂などへの延焼を防ぐ警戒放水を行った。

 訓練ではこのほか、両寺の消防隊と地元自主防災会が協力して重要文化財の搬出や、インバウンド(訪日外国人旅行者)増加に対応すべく外国語による観光客の避難誘導も行われた。

 講評で一関市消防本部の菊地和哉消防長は「昨年はフランスのノートルダム大聖堂や沖縄の首里城など国内外の世界遺産が焼損する被害があった。貴重な文化財を守るためにも、今後も消防団や自主防災組織などの連携を継続していってほしい」と期待を寄せた。

 文化財防火デーは、奈良・法隆寺で金堂壁画を焼損した火災などを機に1955年制定。同町では国宝や重要文化財など5000点を超える貴重な文化財を守るべく、毎年町を挙げて防火訓練が行われている。

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