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東日本大震災 被災者の心 ケア必要 安田さん(ジャーナリスト)指摘 三陸復興フォーラム【岩手】

被災地での取材を通じて感じたことなどを語る安田さん

 東日本大震災からの復興について考える2019年度「いわて三陸復興フォーラム」(県など主催)は26日、盛岡市内のホテルで始まった。初日は全体会が開かれ、フォトジャーナリスト安田菜津紀さんが基調講演。沿岸被災地の取材を通して感じたことや復興のために必要な支援の在り方などについて語った。最終日の27日は、盛岡、釜石両市で活動報告会や被災地の視察が行われる。

 震災に関する情報発信を通じ、記憶の風化を防ぐとともに、復興や地域づくりのさらなる推進を図る目的で開催。初日は県民ら約100人が参加した。

 安田さんは、東南アジアや中東、アフリカなどで難民や貧困、災害の現場を取材。東日本大震災以降は、夫の両親が暮らしていた陸前高田市を中心に、被災地の現状を記録している。

 講演では、同市での取材を振り返り、壊滅状態となった市街地に集って伝統行事を続ける地域住民や、家族の応援を受けて漁に励む男性の姿などを紹介。「被災地が息を吹き返す場面を幾度も見ることができ、感銘を受けた」と語った。

 震災発生から丸9年が経過するのを前にしても避難者がいる現状も見過ごせないとし、「被災者の声も聞こえづらくなっている。どのような支援が必要なのかを知らなければならない」と警鐘を鳴らした。

 がれきの中で撮影した松が“奇跡の一本松”として希望の象徴となっている一方で、義父から「7万本もの松が一本しか残らなかった。地元の人にとってはショックなこと」と指摘を受け、考えが変化。「希望を持てず、復興にも携われていないと落ち込んでいる人もいる。そういった人たちと、どのように接していくのかを考えることも大事だ」と心のケアの必要性も訴えた。

 講演後、キャッセン大船渡取締役の臂徹氏、かまいしDMC地域創生事業部いのちをつなぐ未来館職員の菊池のどか氏らによる「復興のこれから」をテーマにしたパネルディスカッションも行われた。

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