奥州・金ケ崎

「市民役者」が躍動 災禍の中でも「魂の絆」【奥州】

奥州胆沢劇場「魂のはだて」の1場面。災禍を乗り越えて笑顔が戻った村人たち

 第36回奥州胆沢劇場(実行委主催)は23日、午前と午後の2回公演が奥州市胆沢南都田の胆沢文化創造センターで行われた。今回の「魂(こころ)のはだて」は、深刻な災禍が相次ぐ中、過ちにより一度は失いかけた絆を取り戻す「村」の人々の心の交流を描いた。稽古を重ねた「市民役者」がステージ狭しと熱演を繰り広げ、大勢集まった観客が手作り舞台の醍醐味(だいごみ)を味わった。

 同劇場は「誰でも参加できる手作り舞台」をキャッチフレーズに開催。今回も原作は公募で同市水沢の及川寿和さんの作品を小野寺直也さんが脚色し、地元の制作陣が舞台、音楽、演出を担い、同市胆沢を中心とした老若男女の役者が稽古を積んで本番を迎えた。

 胆沢劇場ファンらが詰め掛けた中、「絆」をテーマにした「昔の胆沢の村」で繰り広げられる2幕14場の劇が演じられた。

 村人から慕われる肝いりの「直右衛門」を中心に和気あいあいとした村を、ある年に大規模な飢饉(ききん)と流行病が襲う。妻を亡くした上に息子の「蓮太郎」も流行病に侵され、疑心暗鬼となった直右衛門。そんな中でコメ泥棒に入られ村人を疑う。蓮太郎の親友「清吉」を流行病で失った父「留治」とも争うが、蓮太郎に諭され改心。村人に謝罪し信頼が回復する中、コメ泥棒が留治の家に入り、直右衛門はそこで大けがをしてしまう。看病に当たる中で留治は直右衛門を許し、災禍で行われなくなっていた正月の行事を復活させ、再び心が通い合う村の姿を取り戻すというストーリー。

 役者が幕の前で演じる「うわさ話」では、ユーモアを交えてストーリーを展開。息子を失った心情を吐露する留治の一人芝居は客席の共感を集め、ハンカチを手にする観客の姿も見られた。

 公演を主催した実行委の藤田春芳会長(69)は「毎回思うが、たいしたものだ。シンプルなセットだったが、見応えのある舞台になっていた。名物の一つ『焼石岳』も立体感があって良い仕上がりだったと思う」と振り返っていた。

 観客たちは「手作りの舞台はやっぱり良いね」と満足した表情を見せていた。

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