花巻

味わい豊かに 初仕込み リンゴシードル販売 悠和会果実酒醸造所【花巻】

販売されているアールペイザンワイナリーの初仕込みシードル

 花巻市幸田の社会福祉法人悠和会(宮澤健理事長)の果実酒醸造所「アールペイザンワイナリー」が、初めて仕込んだリンゴのシードルが完成し、市内外で販売している。醸造に携わる障害のある利用者が、果実の豊かな味わいが特徴のリンゴ酒の出来栄えに自信を深めている。

 製品化されたシードルは、紅玉100%の「ボム・エグル2019」と、ふじ100%の「ポム・シュクレ2019」の2種類。エグル(アルコール度数6・5%)は紅玉のフレッシュな酸味を生かした味わいと華やかな香りが特徴。シュクレ(同7・5%)は、ふじの独特の香りとほのかに感じるバニラの香りが加わったふくよかな味わいが楽しめる。

 同ワイナリーは、同市が2016年11月に内閣府から認定を受けた「花巻クラフトワイン・シードル特区」を活用した第1号。悠和会が日本財団や県、市などの助成を受け、約1億3850万円を投じて19年10月に完成。障害者就労継続支援B型事業所でもあり、同会の施設利用者40人のうち、リンゴ栽培と醸造などに20人が携わる。自家農園など約2・5ヘクタールでリンゴを生産し、昨秋に収穫した約3・6トンを醸造。初年度は2000リットルを仕込んだ。

 23日には製品化されたシードルの発表を兼ねた試飲会がワイナリー近くの悠和会・銀河の里デイサービスホールで開かれ、市内外から訪れた約40人が2種類の味比べをしながらシードルを存分に堪能した。初仕込み酒の完成を記念してサックス奏者の井上朋子さん、ピアノ奏者の稲荷周佑さんによるジャズライブも行われた。

 利用者の畠山英俊さん(55)は「栽培から始まったシードル造りが製品となり、消費者から大変喜ばれているので励みになる」、高橋一晟さん(28)は「リンゴの爽やかな香りが楽しめるシードルに出来上がった。自信作なのでうれしい」と出来栄えを喜ぶ。

 同会では、リンゴ園地で紅玉、ふじのほか、シードル用5種類、休耕田の棚田を造成した1ヘクタールのブドウ畑で18年からワイン用4種類を栽培する。ワインは23年に初仕込み、24年春の出荷を目指している。

 宮澤理事長(64)は「シードルの初出荷はわれわれの第一歩。利用者がプロ意識を持って醸造に携わり、100年、200年と続くワイン、シードルの産地を目指したい」と意欲を語る。

 シードルの税込み価格は、フルボトル(750ミリリットル瓶)が2200円、ハーフボトル(375ミリリットル瓶)が1320円。初年度は2種類の各2瓶を合わせ4000本を販売する計画。

 同ワイナリーのほか、同市松園町のスターブリッジいわてギフトショップ「いわてのギフト」などで購入できる。問い合わせは同ワイナリー=0198(41)8566=へ。

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