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時代の記憶 語り継ぐ 「孫たちへの手紙」 県老ク連監修 第20集発行【岩手】

第20集となった「孫たちへの手紙」

 県老人クラブ連合会監修の体験文集「孫たちへの手紙」第20集が発行された。身内からの聞き書きを含む昭和の戦争体験や戦中、戦後の暮らしの労苦を中心に収録。元号が平成から令和へと変わった時代の節目に、風化を防いで次世代に引き継ぐ思いを込めた。

 「戦―兵役体験・聞き書きなど」「守―銃後の守り・戦後の労苦」「伝―伝えておきたいこと」「道―ひとすじに歩んで」の4章構成で、全51編を掲載した。

 奥州市の男性(95)は、氷点下20度以下の日が続いた大陸での過酷な捕虜生活を振り返り、「戦争は勝っても負けても双方に人的、物的の大きな損害が生ずる。故に『戦争絶対反対』を祈り続け、(中略)生ある限り語り継いでいきたい」と誓っている。

 一関市の女性(91)は自らの生い立ちをたどりながら戦前、戦中、戦後の日々の暮らしぶり、農作業の様子などを丁寧につづり、「昭和と平成、令和と生き延びて世の幸せをただ祈るのみ」という歌で締めくくった。

 節目の発行に同連合会の村田東助会長は「昭和も遠くなる懐旧の思い」と「戦時体験がより風化しつつあることを感じ」たことが応募の契機になったのではと推測。体験者自身の作品は少ないながらも活発な応募を喜び、次集以降に向けた応募にも期待する。

 A5判、302ページ。1600円。問い合わせは、博光出版・岩手自分史発行センター=019(641)0671=へ。

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