花巻

【新型肺炎】需要激減で農家は悲鳴 啓翁桜の出荷半値以下 花巻

切り取った啓翁桜をハウス内に運び込む小原さん。卸値が半値以下に落ち込み、厳しい経営を強いられている

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い卒業式の中止が全国で相次いでいる影響で、式会場を彩る機会の多い「啓翁桜(けいおうざくら)」の需要が落ち込み出荷価格が例年の半値以下にまで下落している。出荷は終盤を迎えており、作業に当たる花巻市の農家は悲鳴を上げている。今後、花き業界全体に影響が及びかねないとして「早く騒ぎが収束してほしい」と願っている。

 啓翁桜は、昔から早春を告げる花として好まれ、正月や卒業式などで重宝がられてきた。栽培している農家は県内でも珍しく、同市太田の農家小原有幸さん(70)方では、かつてリンゴ畑だった85アールで20年以上前から栽培。現在は850本ほどが植えられている。

 今シーズンは、2019年12月20日ごろから花芽のたくさん付いた枝を一定の長さに切って、自宅近くのビニールハウスで15度程度に加温。1割程度花が開いた状態で正月向けから出荷を始め、2月下旬から3月中旬にかけピークを迎える。多い年では1万本ほどを切り花として出荷する。

 出荷先は関東方面や盛岡市の市場が中心。今シーズンは2月下旬までは例年並みの価格で推移したが、3月に入って臨時休校や卒業式中止などの情報が出回りだした頃から急激に需要が落ち、枝1本当りの卸値は例年の半値以下となる100円を下回る状況にまで落ち込んでいる。このためJAいわて花巻は、輸送に掛かるコストを抑制しようと東北地方を中心に出荷している。

 出荷は15日ごろまでの見込みだが、小原さんは「切り取った枝はハウス内で暖房をかけているため経費が掛かっており、経営上は非常に厳しい状況」と頭を悩ませ、「今回のように価格が下落するのは初めて。コロナの影響で花全体の需要が減っており、今後を考えると早期に収束してほしい」と祈る。

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