県内外

海へ鎮魂の祈り 宮古・田老

東日本大震災の発生時刻に合わせ海に向かって黙祷する住民たち=11日午後2時46分、宮古市田老

 東日本大震災発生から9年を迎えた11日、県内では追悼式などの行事が行われた。今年は新型コロナウイルスの影響で、規模縮小や式典取りやめなど、被災した沿岸市町村でも対応が分かれた。このうち、宮古市田老では、住民らが毎年手をつなぎ防潮堤から海に向かって黙祷(もくとう)しているが、今年は新型肺炎の影響で手をつながずに黙祷し犠牲者の鎮魂を祈った。

 田老地区は津波が高さ10メートルの防潮堤を越え甚大な被害を受けた。同市のNPO法人津波太郎(大棒秀一理事長)が、震災後に犠牲者への追悼と津波の教訓を後世に伝えようと震災の翌年から追悼行事を行っている。

 今年は約150人が防潮堤の上に間隔を空けて手をつながずに並び、午後2時46分にサイレンが吹鳴されると海に向かって手を合わせるなどして黙祷した。

 発災時に田老地区に住んでいた同市黒田町の団体職員山本英貴さん(43)は、津波の犠牲になった祖母の写真を持って追悼行事に参加した。山本さんは「助けられなくてごめんなさい。9年たった今も後悔している」と声を詰まらせた。「大切な命を守るため、震災の被害を後世に伝えるためにもこうした追悼行事は必要だ」と述べた。

 大棒理事長は「新型コロナウイルスの影響で特に今回は呼び掛けをしなかったが、皆特別な思いがあり集まってくれた。津波防災や風化を防ぐためにも、今後も追悼行事を行っていきたい」と話した。

 このほか、同市では市民文化会館で追悼式を開催。新型肺炎の影響で来賓の規模を60人から20人に縮小したほか、式次第を簡略化。さらに、参列者にアルコール消毒やマスク着用を呼び掛けて対応した。

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