北上・西和賀

郷愁誘う茅葺き民家 農業科学博物館 写真や模型展示【北上】

県立農業科学博物館で開催中の企画展「消えゆく茅葺き民家『直家』『曲り家』」

 県立農業科学博物館の第83回企画展「消えゆく茅葺(かやぶ)き民家『直家(すごや)』『曲り家』」は、北上市飯豊の同館で開かれている。貴重な写真と模型、押し花絵を展示。農業の近代化で急速に姿を消し、今ではほとんど見ることがなくなった茅葺き民家を考える機会を提供している。7月29日まで。

 茅葺き民家はもともと、直方体に屋根を掛けた直家が基本形で、曲り家は直家の変型から発展したもの。本県では旧南部藩の一部で発達し、家畜と一つ屋根の下で暮らした「南部曲り家」が広く知られているが、県内には両方が混在している。

 分布には偏りがあり、県土の3分の1を占める藩境から南(旧伊達藩)には圧倒的に直家が多く、藩境から北(旧南部藩)の盛岡、岩手、上・下閉伊、稗貫地方には曲り家、それ以外には混在するほか、県北の秋田県寄りは直家のみとなっている。

 会場には長年にわたって茅葺き民家の撮影を続けてきた今野幸正さん(盛岡市)の写真をはじめ、小田島清敏さん(北上市)が廃材を活用して作った古民家の模型、故・齋藤敏子さん(同)による押し花の絵を中心に展示。茅を叩いてそろえるガンギや縄を下地に結び付けるハリ、茅を刈りそろえるハサミなども並ぶ。

 同館では「県内の茅葺き民家は10年前で200軒ほどだったといわれており、今では半分ぐらいになってしまったのでは。展示を通じ、数少なくなった茅葺き民家について子供たちにも興味を持ってもらいたい」と呼び掛けている。

 開催時間は午前9時~午後4時30分(入館は4時まで)。月曜日休館(月曜日が祝日の場合は直後の平日)。入館料は一般300円、学生140円、高校生以下無料。20人以上の団体割引もある。問い合わせは同館=0197(68)3975=へ。

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