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重文の大刀(八戸市教委所有)毀損 県教委、調査過程で 文化財資料無断切り取り問題【岩手】

 県立博物館の男性学芸員による文化財資料の無断切り取り問題で、対象資料の調査を進める県教委は16日、調査過程で重要文化財で青森県八戸市教委所有の「方頭大刀(ほうとうたち)」が毀損(きそん)したと公表した。県教委は文化庁と修理に関する仕様と工程を協議し、2020年内に修理を進める。

 県教委よると、毀損した「方頭大刀」は八戸市の丹後平古墳群から出土した埋葬品で刀長48・5センチの鉄製品。切り取りの有無を調べるのに必要なX線写真の撮影を県立博物館で行うため、今年1月18日に収蔵先の八戸市博物館で専門業者が運搬専用車に積み込む作業をしていたところ、一度梱包したのを開けてみると折れていた。

 所有者と担当者が立ち会い、専門業者が作業に当たっていたが、さびることで劣化が進行したのが大きな要因となり、運搬用の箱に収納梱包した際に毀損したとみている。

 毀損を避けるため、八戸市教委の重文資料79点については県立博物館への運搬を中止し、移動X線撮影車を使い先月25、26の両日に現地でX線撮影を終え、今後切り取りの有無の確認を進める。残る一乗谷朝倉氏遺跡(福井県)出土の重文資料についても極力運搬を伴わない方法で調査を進める方針。

 県外重文資料で切り取り行為の可能性があった3道県4遺跡出土の重文資料については今年度中に調査を終了させる予定だったが、毀損などにより来年度以降にずれ込む見通し。県教委生涯学習文化課の佐藤公一総括課長は「年度内に終了できず所有者に申し訳なく思う。重文資料の調査については夏をめどに完了させ、速やかに一般文化財の調査を進めていく」と述べた。

 なお北海道の目梨泊遺跡、勝山館跡出土の重文資料については無断切り取り行為は確認されなかった。

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