“みずみずしい”感性紹介 若き日の作品29点 利根山光人記念美術館企画展【北上】
利根山光人記念美術館の2020年度前期企画展「利根山光人―若き日―」(北上市、市教委主催)は、同市立花の同館で開かれている。情熱的な作品を数多く創作し、「太陽の画家」と呼ばれた利根山(1921~94年)。画伯の30、40代頃の作品が並び、当時の“みずみずしい”感性を紹介している。5月28日まで。
利根山は茨城県生まれ。メキシコとの交流などから国際的な画家として知られる。本県芸術祭の審査員として来県した72年、帰路に訪れた同市で出合った鬼剣舞や鹿踊(ししおどり)に魅せられたのを縁に、74年には立花にアトリエ(現在の同館)を構え、民俗芸能をテーマにした創作活動にも励んだ。
38歳でメキシコに渡った利根山は、マヤ文明の影響を色濃く反映させた制作を始める。今展ではメキシコ訪問以前と以後、両方の時期に制作され、同館初公開作品を含む油彩や水彩など29点を展示している。
同時期には社会問題を扱った作品も見られるが、利根山が過ごした「若き日」の風景や建物を描いた絵画からは、直接的なテーマ性をぶつける表現とは別に、対象を新鮮な目で見詰めた純粋な感動が伝わる。
同館では「萬鉄五郎の初期風景画にも通じるフォービズムの影響やシュールレアリスム風の作品など、この時期の画伯は実に多様性に富み、先駆的に日本画壇の閉鎖性を打破しようとした意図を感じる」と解説。「今展の画業初期の作品と、円熟期とも言える常設展の大作を比較しながら味わってほしい」としている。
展示時間は午前10時~午後4時(入館は3時30分)。入館料は一般300円、高校生120円、小中学生60円。定住自立圏の奥州、北上、金ケ崎、西和賀各市町の小中学生は無料で入館できる。
問い合わせは、同館=0197(65)1808=へ。
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