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血中のウイルス抗体検出 新型コロナ 研究用キットを発売 セルスペクト(盛岡)

セルスペクトが販売を開始した国内初の抗体検査キット

 医療機器開発・製造販売のセルスペクト(本社盛岡市北飯岡、岩渕拓也代表取締役)は10日、感染拡大が続く新型コロナウイルスの抗体検査キットを発売したと発表した。大学や医療機関向けの研究用製品で2時間で約100検体分の検査が可能。ウイルス自体を検出するPCR法との併用で検査の精度が高まることが期待される。

 発売したのは感染した際に血中からウイルスに対抗する抗体を検出するELISA(エライザ)法の検査キット。検体に10種類の試薬を加えて2時間待つと、色の変化で抗体の有無などが分かる仕組みで、一度に96検体分、PCR法に比べ5分の1~10分の1のコストで検査できる。

 同社によると、海外ではPCR法とエライザ法を組み合わせた判定で、陽性的中率が98%以上に上昇したという研究成果が報告されている。国内では主にPCR法が活用されているが、抗体を検出するキットはほとんどが海外製で、世界で感染拡大が進む中で輸入が止まり、国内では使用できていないのが現状だ。

 国産の抗体検査キットの安定流通が可能になれば、多くの研究者が研究を推進することで臨床での使い方が確立され、さらには今後の治療法や予防法の研究の進展が期待できるという。

 抗体検査キットは1日当たり5000検体分の生産が可能。今後、体外診断薬としての承認を目指し、岩渕代表取締役は「抗体検査キットは世界中で流通しているが、国産では少なくとも製品として流通しているものはない。研究が進み、抗体検査が簡単にできるようになることでPCR検査を受けられず不安に思う人が少なくなれば」と話す。

 同社は今後、今回のエライザ法による抗体検査を2時間から30分に短縮する迅速検査キット、抗体検査法でもインフルエンザ検査などに使われているイムノクロマト法により15分程度で抗体を検出する簡易検査キットも発売していく。

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