正確な資料次世代へ IH陸上競技記録網羅 小笠原さん(水沢)70年史出版【奥州】
奥州市水沢の小笠原隆夫さん(68)は、「インターハイ陸上競技獲得得点からみた70年史」を自費出版した。全国高校総合体育大会(IH)に出場した2900校、男女約1万人分の記録を網羅。膨大なデータを独自の切り口からまとめ上げた。
高校教諭時代、赴任先の高校の陸上競技部で長く顧問を務めた小笠原さん。ハイレベルなIH記録に驚きつつ「大会前までのシーズンベスト記録からみて、IHでの獲得得点はどうなっているか」に興味を抱き、15年前にその傾向を記した第1弾を自費出版した。
調べるうちに、過去の大会では得点配分や都道府県名、選手の漢字、高校名など、機関誌でのさまざまなミスを発見。第1回IHではリレーメンバー不明もあった。「それならば第1回から全部きちんとデータを整理し、次の世代に引き継ごう」と第2弾の作業に着手。自ら入賞者全員の氏名と得点を入力し直すなど「気の遠くなるような作業だった」といい、4年かけて完成にこぎ着けた。
今回の「70年史」はA4判、251ページ。第1回から2019年の第72回までのIH学校別、選手獲得得点をはじめ学校別の個人種目入賞者数、リレー競技の学校別入賞数などを網羅。合わせて2916校、男女1万234人分を記載した。このほかIH創始期から各時期の全国11地区の獲得得点の推移、得点ゼロが長く続く高校を記載。数年前に水沢一の男子選手が砲丸投げで入賞し、学校として46年ぶりにIHで得点を挙げたことが分かる。
今回は非売品で30部発行。全国の陸上競技指導者や陸上競技専門誌などに送付した。指導者からは「こういう資料が欲しかった」「過去のIH選手の名前があると、学校の生徒会誌にも残せる」と感謝の声が寄せられたという。
小笠原さん自身、高校教諭時代からマスターズ陸上を続け、現在も走り幅跳びと三段跳びで国内外の大会に出場する陸上愛好者。「データをミスのないよう残しておくことが陸上に携わった者としての役割。きちんと残しておけば追加、修正もできる」と強調。「第80回IHが終わったら各陸上競技雑誌を参考に完全に近い集計にして記録集をまとめたい」と意欲を示している。