【新型コロナ】盛岡さんさ初の中止 安全最優先で判断
盛岡市を代表する夏祭りとして毎年8月に開催される「盛岡さんさ踊り」の実行委員会(会長・谷藤裕明市長)は21日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、今年の開催を中止すると発表した。政府が緊急事態宣言の対象地域を全都道府県に拡大したことや、県内外から観光客が集まることによるクラスター(感染者集団)発生などのリスクを考慮した。中止となるのは、1978年の第1回以降で初めて。
実行委によると、今年は8月1~4日に同市中央通を主会場に開催する予定だったが、感染の収束が見通せないことから、委員162人を対象に開催可否に関する意見を募った。書面評決の結果、中止を求める声が全体の約9割を占め、21日の役員会で正式決定した。祭りをPRする「ミスさんさ踊り」の審査については、20日までに18人の応募があったが、選考中止も視野に入れて今後の対応を検討する。
21日に市内で記者会見した谷藤市長は、中止の理由について「不特定多数の人が訪れ、感染拡大やクラスター発生が懸念されることから、市民や出演者、来場者の安全が最優先と判断した」と説明。今後について「さんさ踊りを未来につなげるためにも全力で感染防止対策に取り組む」とした。
中止を受け、地域住民にも衝撃が広がった。同市加賀野の主婦佐藤真希子さん(46)は「小学生の娘が、去年に続いて太鼓で参加する予定だった。こうなるとは思っていたが、楽しみにしていたので残念」とため息を漏らした。市内の70代の男性は「寂しいが、命を守るためには仕方がない」と理解を示した。
盛岡さんさ踊りは、鬼を神社の神様が追い払ったことに人々が感謝し、三ツ石の周囲を踊ったのが起源とされる。実行委によると、2019年は4日間で延べ253団体、3万5500人が参加。過去最多の約149万人の人出となった。