一関・平泉

千葉から一関帰省 救急妊婦受け入れず 県立2病院 重く受け止め態勢構築

県立磐井病院=一関市狐禅寺

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、千葉県から一関市に帰省中の17日に破水した30代の妊婦に対し、県立磐井(一関市)、県立中部(北上市)両病院が新型コロナ対策が整っていないことを理由に受け入れを断っていたことが分かった。当初県内での出産予定はなかったが、県医療局では緊急時に対応できなかったことを重く受け止め、今後は適切に対応していくとしている。

 同局によると、女性は妊娠35週。千葉県内での出産を予定していたが、一時的に一関市内の実家に帰省していた。帰省して4日ほどが経過した17日午前中に破水したため救急搬送され、消防が磐井病院に受け入れを求めたが、態勢が整っていないことなどを理由に断られた。

 その後、受け入れ先を調整する周産期救急搬送コーディネーターが中部病院に連絡したが、同様の理由で受け入れを拒まれた。女性は県央部の周産期病院に搬送され、PCR検査で陰性と確認された後、帝王切開で無事出産し、母子ともに健康だという。

 県立病院では、県外からの里帰り出産は帰省先などで2週間の待機後、熱やせきの症状がないことが受け入れの条件だった。磐井、中部両病院では、多数の感染者が確認されている千葉県から帰省して数日しか経過していないことや、感染の可能性がある患者や妊婦に対応する準備が整っていないことが判断の理由になったという。

 磐井病院の千田了事務局長は「妊産婦の方には不安や心配をかけてしまい、申し訳ない」、中部病院の海沼建司事務局長は「やむを得ない状況ではあったが、事態を重く受け止めている」としている。両病院では既に院内の感染症対策を整え、妊婦らの受け入れ態勢の整備を完了した。

 今回の事態を踏まえ、同局医師推進室の菊地健治医師支援推進監は「病院側に事情があったとはいえ、新型コロナへの感染の有無にかかわらず緊急患者へ対応すべきだったと認識している。今後は県内の全県立病院において新型コロナに対応した診療態勢の構築を進めていく」と語った。併せて里帰り出産への対応についてはかかりつけ医と連携しながら適切に対応していくとしている。

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