一関・平泉

霊験あらたか おこり神様 疫病退散、住民が願掛け 弥栄【一関】

石碑に向かって手を合わせる佐々木さん(手前)

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、健康への不安が増す中、一関市弥栄字沼畑の佐々木栄子さん(72)方の敷地内にある「おこり神様」の石碑に地域住民が新型コロナの早期収束へ願いを込めている。

 石碑は正応5(1292)年の年号が刻まれた供養碑で幅50センチ、高さ70センチほど。

 旧弥栄中学校が発行した「郷土誌 弥栄の里」などによると、長い年月の間にたびたび起こったとされる水害「しらひげの洪水」で集落が沼と化した後に残されたものとされ、渡り石として使われていた。渡るたびにうなり声を聞いたり、体のだるさを感じたりする人が続出したため、起こして路傍に祭ったと伝えられている。

 寛永5(1628)年に通りすがりの旅僧が「来年、再来年は疫病が流行するから気を付けよ。この碑の霊が疫病から守るであろう。粗末に扱ってはいけない」と予言して立ち去ったといい、仙台藩の疫災記録によれば予言通り、寛永6、7年に疫病が流行して多くの人が亡くなったという。

 「おこり」は熱が高くて震えがくる病気のことで、当時の人々は石碑を縄で縛って願を掛けると不思議と霊験があるとして「おこり神様」と呼んで信仰していた。

 1968年ごろ、佐々木さんの義理の父善吉さんが路傍の畑の中にあった石碑を宅地内に移したといい、5日には佐々木さんと近隣住民が石碑の前で手を合わせた。佐々木さんは「新型コロナが早く収束して安心して暮らせるようになってほしい」と話している。

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