北上・西和賀

コロナ対策医療用品 3Dプリンターで開発 試作品を無償提供 いわてDE・北上

3Dプリンターを活用し、いわてDEセンターが開発したフェースシールド(左)や作業用マスクなどの試作品

 北上市相去町のいわてデジタルエンジニア(DE)育成センター(小原照記センター長)は、新型コロナウイルス対策として3Dプリンターを活用したフェースシールドやイヤーガード、作業用マスクを開発し、試作品を県内外に無償提供している。医療支援の一環で提供を始めたところ、品薄感の中で一定の引き合いもある。同センターは高度なデジタル技術を生かし、県内の企業と連携しながら量産、商品化も視野に入れている。

量産、商品化も視野

 小原センター長らは、全国のものづくり企業が医療従事者を支援する動きに賛同。各種3Dプリンターを駆使し、インターネットで公開されている事例も参考にしながら3月下旬から試作品作りを始めた。

 フェースシールドは主に医療従事者向け。飛沫(ひまつ)を防ぐために顔を覆うもの。透明なフィルムの代わりにクリアファイルやラミネートフィルムを活用し、パンチ穴に3Dプリンターで作り上げたフレームを組み込んだ。

 インターネット交流サイト(SNS)にアップしたところ大阪府や三重県、北海道の病院などから問い合わせがあり、最近は県内の病院や歯科医、介護施設からの注文が多くなっているという。

 イヤーガードは両端にマスクのゴムを着けて後頭部に装着し、マスクのひもによる耳の痛みを和らげるもの。長さ15~20センチ、厚さ1ミリ以下、重さ2グラム以下の軽量。主に一般向けで、試作品は岩手の県章や丸みを帯びたデザインなど10パターンほど用意した。

 作業用マスクはプラスチック製でアウター、インナーの二つのパーツで構成。内部にガーゼやティッシュペーパーなどをセットし、簡単に取り外しできる。インナー部分は口が付かない構造で、洗って拭けばすぐ使える。鼻の部分に穴を開いたタイプや全面に小さい穴を開けたものがあり、主に農作業や製造現場などで作業する場合に適する。

 現時点ではフェースシールドを中心に200以上の試作品を無償提供。注文の問い合わせは300を超えるという。小原センター長(37)は「まずは品薄で困っている方々に渡したい」と強調。今後もこれらの品薄が続く可能性も踏まえ「地元で作り、供給できるようにしたい」と語る。

 ただ、3Dプリンターでは量産はできず無償提供にも限界がある。同センターは提供先から試作品の使い心地や効能についての反応を聞き、オリジナルの製品化に役立てる考え。小原センター長は「岩手の企業とコラボレーションしながら量産も視野に、岩手らしいものを商品化していきたい」と話している。

 希望する場合は同センターのメールアドレス= iwatedeinfo@iwate-de.jp =まで。

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