奥州・金ケ崎

引き出し持って避難 岩谷堂うるしタンス工房 災害対応型を商品化【奥州】

ふたの付いた引き出しを抜いて持ち出せる岩谷堂箪笥

 奥州市江刺愛宕の岩谷堂うるしタンス工房(亀井祐一代表取締役)は、災害時に持ち出して避難できるように引き出しを加工した「緊急災害対応型岩谷堂タンス」を商品化した。引き出しにロックできるふたを付けたのが特徴で、非常持ち出しを入れておけば引き出しを抜いてアタッシェケースのように使えるという。同社では「タンスを持ち出すのは無理だが、大事な物を入れた引き出しを持って行ける。長く使える商品だからこその工夫」とアピールしている。

 商品開発のきっかけは、亀井代表取締役が近年多発する災害で家財が流される映像を見ていて何とかしたいと、2019年秋に西舘敏博専務取締役に相談したことからという。

 岩谷堂箪笥(たんす)は、ケヤキ材を使って漆を塗り、鋳物の金具を付けたしっかりした作りが特徴だけに重い。タンスの持ち出しは無理だが、引き出しを抜いて持ち出すのは可能だとして引き出しにふたを付けた。独創的な商品の開発に向けて「従業員が一丸となって取り組んだ」と西舘専務は振り返る。

 ふたを付けた引き出しを鋳物の取っ手でつり下げるように持つとアタッシェケースのような形になる。持った時にふたが開かないようにロックできる仕組みとした。マグネット式でふたを押すと開くタイプ、埋め込み式つまみが付いたロック機構のタイプを作った。

 仕上がった商品に手応えを感じ、同社は引き出しの新しい形について特許庁に申請し、実用新案と部分意匠として登録された。

 西舘専務は「現在使っている岩谷堂箪笥の引き出しの加工も受け付ける。また、製品としては引き出し一つのみふた付きだが、複数にするとか、中に仕切り板を入れるなど、それぞれの好みや趣向に応じた加工も応じたい。まずは相談してほしい」とし、一生物として大事に使うニーズに柔軟に応える意欲を語る。

 実用新案、部分意匠登録を記念して、同社では特別価格で販売、加工するという。商品では、一般的な「日高整理タンス」(高さ90センチ、奥行き45センチ)を90センチ幅が22万円(消費税、送料込み)、105センチ幅25万円(同)、120センチ幅28万円(同)で販売する。幅55センチの「極小タンス」(高さ55センチ、奥行き33センチ)は13万円(同)、幅80センチの「みちのく車タンス」(高さ78センチ、奥行き42センチ)が18万円(同)となる。引き出しの加工は幅50センチまで1万5000円(消費税込み)。

 緊急災害対応型岩谷堂タンスについての問い合わせは、同社=0197(35)4719=へ。営業時間は平日午前9時30分~午後5時。

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