北上・西和賀

求人動向に苦慮 来春高卒予定者 地元定着へ情報共有 北上職安管内関係団体

コロナの影響で見通しが立ちにくい求人動向に苦慮している声が出された情報交換会

 北上公共職業安定所管内の雇用関係団体は3日、2021年春卒業予定の就職希望高校生の人材確保に関する情報交換会を、北上市の市生涯学習センターで開いた。新型コロナウイルスの影響で雇用情勢の見通しが立ちにくい中、出席した高校関係者からは不透明な求人動向に苦慮している声が相次いだ一方、採用に前向きな姿勢の企業が一定数あることが示され、出席者は高校生の地元定着と地元企業の人材確保に向け情報を共有した。

 同市と北上雇用対策協議会、県、北上職安、北上商工会議所、北上工業クラブ、県高校長協会北上支会などから関係者30人が出席。同職安が就職希望生徒の求職動向や求人受理状況について報告。市と北上雇用対策協議会、県が支援事業の内容を説明し、高校、同クラブ、同商議所を中心に意見交換が行われた。

 意見交換で、高校側からは「生徒たちも就職できるか不安に思っている」、「求人動向が不透明で、具体的な進路先について3年生と話ができない状態に苦慮している」といった就職活動の支援に苦慮している声が聞かれたほか、「学校に入るさまざまな情報が遅れているので、今後も情報を共有できる場がほしい」、「自粛の影響でさまざまな指導が後ろにずれ、7~8月の多忙化を恐れている。情報不足がネックになっており、今後、計画的に指導を進める必要性を強く感じる」と情報不足に頭を悩ませる声もあった。

 一方、企業側からは「ここ数年は募集しても人材が集まらず新卒者の採用に苦労していた。新卒者は定期的に採用したい」「コロナの影響を受けている企業は業態によってばらつきがある。ここ4~5年は求人倍率が高く思うように人材を獲得できなかった中小企業の中には、今年度は多少業績が見えにくくなっても新規採用の意思を持っている企業が多いのではないか」「リーマンショック時に採用を止めて後悔している企業もあるので、例年のような人数を採用できない事情はあるかもしれないが、何人かは採用したいという希望はある」と、採用に前向きな姿勢をうかがわせた。

 同職安の小野寺利一所長は「コロナに負けずに採用しようという企業が多いことが分かった。新卒者を地元に置きたいという思いを後押ししつつ、採用したい企業が多いことを生徒たちに伝え、不安を減らし地元への就職を選択肢に入れてもらえるよう情報提供したい」、髙橋敏彦市長は「コロナの影響を受けている企業には偏りがある。決して先行きを悲観するような状況にはなっておらず、行政としてはこういう時こそマッチングをしっかりさせ、高校生の地元定着を進めるチャンスにしたい」と述べた。

 同職安によると、管内では19年度まで9年連続で就職内定率100%を達成。来春の就職希望生徒は縁故や公務員を除くと325人で、うち70%が県内就職を希望している。一方、4月に行ったアンケートでは管内133社から計506人の採用意向が示されており、求人の受け付け開始初日となった1日は26社から前年同期を14%下回る180人の求人が提出された。同職安は19年度に比べて採用は減る可能性があるものの、調査以降も採用に関する企業の問い合わせがあることから、地元企業の採用意欲はそれほど衰えておらず一定程度高い水準にあるとみている。

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