一関・平泉

山に笑顔やっと 移動自粛解除で須川高原温泉 湯求めにぎわい【一関】

須川高原温泉の名物となっている大露天風呂。県境を越える移動の自粛が全面的に解除されて初の週末、家族連れなどが利用した

 岩手、秋田、宮城の3県にまたがる栗駒山(1626メートル)の8合目に位置する一関市厳美町の須川高原温泉は21日、新型コロナウイルスの感染拡大防止として求められていた都道府県をまたぐ移動自粛が全面解除されてから初の休日を楽しむ家族連れらでにぎわった。好天にも恵まれ、名物の大露天風呂では日ごろの疲れを大自然の中でゆっくり癒やす人の姿が見られた。

 21日の同温泉前駐車場では県外ナンバーの車も数多く、周辺では大露天風呂への入浴や、足湯、登山を楽しむ人たちが行き交った。

 一関市から来た女性(42)は登山を楽しんだ後、大露天風呂で汗を流した。新型コロナの影響で遠出はほとんどしていなかったといい、「お湯はちょっと熱いけれど歩いた後で気持ちいい。今年は山に登れないかと思っていたが、いつも通り登れて温泉にも入れて良かった」と笑顔を見せた。

 奥州市から家族5人で訪れた菊池碧君(6)は「温泉に入って気持ちよかった」と喜び、父親の拓さん(35)は「観光客が減っていると聞き、来てみようと思った。遠出は妻の実家がある盛岡ぐらいまでにしていた。新型コロナは今後も気になるが、経済を動かすには人の出入りがあった方がいいとも思うし、何とも言えない」と話していた。

 同温泉によると、1日に今年の営業を開始して以来、利用客の多くは年配者だったが、越境移動の自粛要請が全面解除されて初の土日となった20、21の両日は客層が変化し、幼い子供を含む家族連れが増えた。従業員は新設のキッズルームで紙芝居を上演するなどしてサービスに努めている。

 日帰り入浴だけでなく宿泊予約も増加傾向にあり、「県外から行ってもいいか」「受け入れ制限はしているか」との問い合わせもあるという。同温泉は県内外問わず利用客の受け入れ制限はしない一方で、新型コロナ対策は続行。施設内各所へのアルコール消毒液の設置や、フロントにビニールシートを張った状態での接客、「3密」を防ぐために客席の間隔を空けるなどしており、「喜んで帰ってもらいたい」としている。

和歌山出身新入社員 木村梨紗子さん
豊かな自然に囲まれ奮闘
▲須川高原温泉に入社した和歌山県出身の木村さん。フロント業務などを担当し、「元気よくいきたい」と語る

 須川高原温泉では今年、4人の新入社員を迎えた。このうち、唯一の女性社員である木村梨紗子さん(31)は和歌山県湯浅町出身。岩手の豊かな自然に囲まれ、魅力を実感しながら接客に励む日々を送っている。

 大学卒業後、一般企業の事務職を務めながら全国各地を旅行した。カフェ巡りが好きで、その行き先を探し、近くの観光地にも立ち寄ることが多かったという。東北は岩手と宮城を訪れて「住みたいな」と思うようになり、住み込みでの働き口を探したところ、同温泉と出合った。

 5月21日に入社し、フロント業務や食堂の配膳などを担当。利用客については「お湯がいいと言ってくれる人が多い。温泉を本当に好きな人が来ているという印象」と語る。朝晩の冷え込みが厳しい環境で、自らも毎晩、温泉に入って体を温めてから就寝している。

 栗駒山麓の同温泉で暮らしながら働いて1カ月たち、「空、緑、花など景色がきれい。それを見られるのは私たちの特権でもあり、泊まった時の魅力でもあるのではないか」と従業員、利用客双方の立場から思いを巡らす。秋には栗駒山に登ってみたいといい、今年の営業終了まで「元気よくいきたい」と意欲を示す。

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