奥州・金ケ崎

医師が見た3・11基に 和山さん 小説「津波にのまれた病院で」上梓【奥州】

 奥州市水沢の和山史穏さん(53)は、小説「津波にのまれた病院で~東日本大震災を乗り越えて~」=写真=を上梓した。医師として被災地に赴いた経験を基に執筆。フィクションを通して記憶の風化防止と被災地の復興に願いを込めた。

 和山さんは順天堂大医学部卒。大学病院の整形外科などで勤務し、その後地元で整形外科クリニックを開設した。東日本大震災では日本医師会災害医療チーム(JMAT)に参加し、陸前高田市で医療支援に当たった。

 作品は陸前高田市と奥州市が舞台。被災地で見聞きした当時の状況や体験を医師の主人公に託し、傷ついた心を癒やす出来事として地元の日高火防祭(ひぶせまつり)や黒石寺蘇民祭なども登場している。

 「次の災害があった時に大きな被害にならないよう本を残しておきたかった」と、仕事の傍ら書き続けてきた和山さん。震災から9年を経て、改めて被害の記憶の継承と被災地の安寧を願っている。

 出版に当たり、中学生ら地元の人に読んでもらおうと、18日に奥州市へ16冊を寄贈した。各中学校と市立図書館に配布される。

 発売は星雲社。アマゾンなどインターネットを通じて販売している。税別1200円。

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