一関・平泉

「森は海の恋人」経緯も NPO法人理事長・畠山重篤さん(宮城・気仙沼) エッセー集を発刊

畠山さんが発刊した「汽水の匂いに包まれて牡蠣養殖100年」
組合誌掲載110編収録

 一関市室根町で長年植樹祭を催しているNPO法人森は海の恋人(宮城県気仙沼市)の理事長畠山重篤さん(76)は、エッセー集「汽水の匂いに包まれて 牡蠣(かき)養殖100年」(マガジンランド)を発刊した。気仙沼湾で養殖業を営んでいる“カキじいさん”が20年にわたってつづったエッセーをまとめたもので、「コロナ禍で時間ができ、本でも読むかと思われている方々のお供となり、未来への希望を見いだすきっかけになるのでは」と自信を込める。

 畠山さんは、1989年から「森は海の恋人」を合言葉に、気仙沼湾にそそぐ大川の上流で広葉樹の森づくりを開始。汽水域の環境再生に取り組み、今年は新型コロナウイルスの影響で中止となったものの、毎年6月に開催する植樹祭には全国から1000人を超える人が参加している。

 「汽水の匂いに包まれて」は、B6判460ページ。2001年4月から2019年6月まで、全国共済水産業協同組合連合会が隔月で発行する「漁協の共済」誌に掲載された110編を収めた。

 長年カキの養殖や植樹に携わった経験を基に、かつてフランスのカキ養殖が壊滅的な打撃を受けた際に日本から宮城種のカキが送られて現在主力品種となっていることをまとめた「カキは外交官」、「森は海の恋人」植樹祭をはじめ、協力者が広まっていった経緯を記した「『森は海の恋人』誕生」、東日本大震災後の地域や家族の絆を描いた「四代目がんばる」などが収録されている。

 副題の「牡蠣養殖100年」は、畠山さんの孫の代で家業が100年を迎えることにちなんだ。「豊かな自然環境さえ残しておけば、孫の代までこの土地で暮らしていける。われわれの養殖場がこうして続けられていることは、森や海が人々の生活と密接に関わっているということを伝えるべくして展開してきた『森は海の恋人運動』の実証であると言える。どのように自然と向き合い、暮らしを考えていくか、そのヒントを本書から拾っていただけるものと思っている」と話している。

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