一関・平泉

新幹線車内誌に「環海異聞」 市博物館展示品 大槻玄沢編纂経緯も紹介【一関】

一関市博物館の展示資料が紹介されているトランヴェール7月号の特集ページ

 JR東日本の新幹線車内誌「トランヴェール」7月号の特集に、一関出身の蘭学者大槻玄沢(1757~1827年)が編纂(へんさん)した「環海異聞」が掲載された。一関市博物館で常設展示されている資料で、玄沢がまとめた経緯や内容を詳しく伝えている。

 トランヴェールは東日本エリアの歴史・文化を掘り起こす旅の情報誌で、同社が運行する新幹線(北海道、東北、上越、山形、秋田、北陸)の全座席ポケットに搭載されている。

 今回の特集は「いつか旅に出よう、冒険者たちのように」。江戸時代初めと明治時代の初めに2人の外国人が仙台や塩釜、松島、山形、秋田、青森を回った旅の様子や、初めて実測による日本地図を作った伊能忠敬の測量ルートなどを紹介している。

 玄沢が編纂した環海異聞を取り上げているのは、「江戸時代、世界を一周した日本人がいた!」と題した見開きページ。「環海異聞」の中の絵をカラーで掲載している。

 この中では環海異聞完成までの経緯を紹介。仙台藩の水夫・津太夫が15人の仲間と共に1793(寛政5)年11月に江戸に向けて石巻を出航したが暴風に遭い、アリューシャン列島に漂着。その後、仲間を失いながらも11年後の1804(文化元)年に帰国し、津太夫が見聞した内容がまとめられたとしている。

 環海異聞には、ロシア本国からデンマーク、英国に寄港し、大西洋から南米を南下、太平洋を経て長崎に送還される間、目にした観覧車やセイウチ、ロシア帝国初の気球の有人飛行に関する記録もあり、同館の相馬美貴子副館長は「当時は日本人の海外旅行が許されていなかった時代。一般庶民が見た世界各地の生活感や生息する動物、異文化に触れた日本人の素直な驚きを感じることができる」とし、「新幹線を利用する場合に読んでいただき、当館でも展示、解説しているので、当時の日本人が見た海外を堪能してもらいたい」と話している。

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