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顧問の暴言 要因と指摘 第三者委が報告書 不来方高生自死事案【岩手】

遺族に報告書の内容を報告し、不適切な対応があったとして陳謝する佐藤教育長(左)ら

 2018年7月、県立不来方高校バレーボール部に所属していた3年生の男子生徒=当時(17)=が自殺した問題で、県教委の第三者委員会「県立学校児童生徒の重大事案に関する調査委員会」(佐々木良博委員長)は22日、顧問だった男性教諭(43)の叱責や言動により絶望感や自己否定感を増大させたことが自殺につながったとする報告書を、佐藤博教育長に提出した。県教委や学校側の対応も不適切だったと指摘した。

 報告書の概要版によると、元顧問の男子生徒に対する叱責や厳しい言動は2年生の秋ごろから強くなった。3年生になって指導が厳しくなり、「プレーは一番下手だ」「そんなんだからいつまでも小学生だ、幼稚園児だ」「使えない」などと人格を否定し、意欲や自信、自尊感情を奪う発言を行っていた。

 元顧問の指導に学校側は「行き過ぎた指導はなかった」との認識だったが、第三者委は「社会的相当性を欠き、または指導としての域を超えるものであり、教員としての裁量を逸脱したものだ」と認めた。

 自殺の直前は後輩や友人に自殺をほのめかす発言をしたり、学校生活アンケートで「安全でない場所がある」と回答するなど助けを求める行動を取っているにもかかわらず、周囲から支援を受けられなかったことが孤立感や絶望感を増大させたとした。

 また元顧問の前任校での生徒への暴行や暴言など指導の問題が共有されず対策を怠ったことが「学校長の不十分な監督・指導につながり、本件事案へとつながった可能性は否定できない」とし、県教委や学校側の責任を指摘した。

 男子生徒は18年7月3日、遺書を残し自宅で亡くなっているのが見つかった。遺族は元顧問の指導が自殺の原因だとして県教委に対し第三者委の設置を求めた。第三者委は19年1月に調査を開始し、全校生徒約830人を対象にしたアンケートや80人を超える関係者から聞き取り調査を行った。

「心よりおわび」 教育長が謝罪

 第三者委から報告書の提出を受けた佐藤博教育長は、男子生徒の父親(53)ら遺族に対し、「元顧問、学校、県教委の対応について不適切、不十分とされた。厳粛に受け止め、心よりおわびする」と謝罪した。

 会見で佐藤教育長は「自ら命を絶つ痛ましい出来事は絶対になくしたい。反省すべき所はしっかり反省し、改善すべきところは速やかに改善する」と述べ、学校長らを集めて報告書の内容を共有するなど再発防止策や、元顧問の処分を早急に検討する方針を示した。

 元顧問が学校に在籍している状況で第三者委の調査が行われたことを遺族側が問題視していることについて、県教委は不適切だったとの見解を示した。

「パワハラ認められた」 遺族が会見、内容評価

 男子生徒の父親(53)は22日、盛岡市内で記者会見を開き、「(元顧問の男性教諭の)パワーハラスメントが認められた」と評価した。

 会見には、父親と代理人弁護士ら3人が出席。報告書で元顧問の暴言が自殺の要因の一つになったと認定した点について、父親は「細部にわたり調査し、暴言などについてしっかり記述してくれた」と受け止めた。一方、元顧問が学校に在籍した状態で調査が行われたことについて「内容を捏造(ねつぞう)しようと思えばいくらでもできる状況。顧問がいない環境であれば、より真実に近い内容になったのでは」と不満を漏らした。

 元顧問の処遇について、代理人弁護士は「いまだ教育現場にいるのは問題。報告書の再発防止策で全く触れられていない」と指摘。父親は「再び被害者が出る恐れもある。社会的責任を取り、本人の意思で辞職してほしい」と求めた。息子の三回忌を迎えても当事者からの謝罪はなく、父親は「不義理だ。報告書が提出されても気持ちが区切れるものではない」と語った。

 遺族らは今後、改めて県教委と面談し、報告書の受け止めについて説明を受けることにしている。

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