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深夜に行われる保線作業。1本80kg程度ある橋の枕木を手際よく取り換えていく
この「路」を守り抜く 誇り高き軌道工

 7月某日の深夜。まちが寝静まった時間に、花巻市の豊沢川にかかる橋の上には明かりがともり、そこにはたくさんの作業員の姿がありました。この橋はJR東北本線(一ノ関〜盛岡間)の鉄道橋。全ての電車が走り終えた後、彼らの仕事は始まります。

 この日行われていたのは、橋マクラギ交換。橋にかかる線路を支える枕木を機械で交換する作業です。1日に交換できるのは25本ほど。高所で1本80kg程度ある枕木を取り換えていく、速さと正確さが求められる仕事です。

 そうした作業を日々続けながら、たくさんの人の足となる鉄道の土台を支える。そんなミッションを持って、線路保守に取り組む会社が北上市にあります。株式会社第一鉄道。県南部を中心に、線路のメンテナンスや土木工事など「保線」と呼ばれる仕事を行っている企業です。

鉄道を支える
「保線」という仕事
▲父親から会社を継いだ経緯を話す中村社長

 1976年、神奈川県川崎市で設立され、軌道工事に特化した建設会社として事業を展開した第一鉄道(当時の社名は、有限会社第一軌道開発)。設立当時は山形・秋田・八戸新幹線の新設工事などに携わってきました。岩手や東北地方に拠点を設けたのは、2000年のこと。東北新幹線の盛岡〜八戸間の開通に向け、青森県八戸市に事務所を開設したのがきっかけでした。

 「父親に会社を手伝うように言われるがまま(笑)、2001年に経理担当として八戸の事務所に赴任しました。私の第一鉄道での仕事は、そこから始まりましたね」と話すのは、代表取締役を務める中村美由樹さん。父親で、会社の創設者でもある中村英壽さんから、6年前に現職を引き継ぎました。現在はJR東日本グループのユニオン建設株式会社の協力会社としての業務を行っています。

 社員は通常22時~24時ごろに事務所へ出勤し、軌道工事管理者を中心に打ち合わせを行った後、作業現場へ移動。最終電車が通過したのを確認後、作業を開始し、始発電車が走る前に作業を終えて帰社する、というのが基本の勤務形態です。不規則な勤務時間や3Kの職種というイメージなどを理由に保線業界は昨今、人員の確保が難しいと言われていますが、この仕事ならではの魅力やさまざまな人が活躍できる環境がある、と第一鉄道の皆さんは語ります。

安全に、高品質に
仕事への自負

 まず、お話を伺ったのは入社3年目の多田浩さん。「もっと自分を生かせる仕事がないか」と全く違う分野から転職し、橋マクラギ交換機のオペレーターを務めています。「日々正常に動いている電車やダイヤ、電車を利用する人たちが普通に移動できている様子を見ると、自分が役に立っている、支えている、という実感を持ちます。ある日、小学生の息子に『この線路ってお父さんが直してるの?』と聞かれ、『そうだよ』と答えると、『ありがとう』って言われたんです。うれしかったですね」と語ります。

▲縁の下の力持ちとしてのやりがいを語る多田さん(右)と菊地さん
▲入社15年目の梶川さん。機械施工を担当している

 今年3月に入社したばかりの菊地恒平さんは、関東の同業他社で7年働いた後、2017年に実家のある盛岡市にUターン。軌道の仕事の醍醐味が忘れられなかったことと橋マクラギ交換機を操縦したいとの思いから働き始めたといいます。「手応えのない日々でうつうつとしていた時に出会ったのが軌道の仕事でした。人から認めてもらえる、責任のあることを任せてもらえる喜びや充実感を経験した思い入れのある仕事なんです」

 また、この仕事ならではの利点もあると話すのは、機械施工を担当する梶川優さん。「勤務時間が短く、残業が少ないのでプライベートに時間を使えることも、この仕事の良さだと感じています。息子が生まれたので、一緒にいる時間を長く取れることもうれしいです」

 梶川さんは高校卒業後に入社し、今年で15年目。「最初の1~2年は仕事が大変で辞めたくなることもありましたが、先輩方の励ましや支えがあったからこそ続けられています」と話します。

力強さと繊細さ
最後はミリ単位

 工種が数百種類に及ぶ軌道工事。作業について、多田さんは「体力を必要とする仕事もあるが、それ以上に求められるのはコミュニケーションと繊細さ。首尾よく作業を終わらせる場面では皆で声を掛け合い、効率的に作業を行う必要がある。最後はミリ単位の世界で調整と仕上げをするので、気が抜けません」と話します。

 そうした仕事の特徴から、「あえて言えば、何でも疑問に思う人が伸びると思います。考えないと、ただの作業になってしまう。常に思考を巡らせながら、一挙手一投足に気を配る必要があります。なので心配性とか、慎重さがある人が向いてる仕事なのかもしれません(笑)」と菊地さん。大切なのは仕事を覚えようとする姿勢だといいます。

 「昼夜問わず、みんなよく働く人たちです。感謝しかありません」と、社員に厚い信頼を寄せる中村さん。仕事において最も重要な安全を実現するには、「和」が大切であると先代の社長は常々語られていたそうです。20代~60代までさまざまなバックグラウンドを持つ社員がいる第一鉄道では、時には社員同士でバーベキューを楽しむなど風通しの良い関係を築いているようです。

 誰にでも開かれた、保線という仕事の門戸。今の働き方を変えたい、人々を運ぶ線路を守りたいという方は、第一鉄道が新しい世界を見せてくれるはずです。

▲「右よし!左よし!前よし!立ち入りよし!」。作業開始の合図とともに安全を確認し線路に入る

momottoメモ

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