一関・平泉

岩手を守る結界? ロマンあふれる六芒星

一関市の観音山・大部ヶ岩
古代蝦夷から続く、岩への信仰
 岩手の南の玄関口・一関で「岩手の六芒星」が話題になっています。古来、東北では自然神(アラハバキ)信仰、巨石をまつる磐座(いわくら)信仰が盛んでしたが、一関・平泉に現存する「磐座」や「田村麻呂伝説」に関連した神社を線でつなぐと六芒星の形になり、この六芒星の結界が地域を守り続けているというのです。
 
▲金田渉治さん
六芒星の中心には…
 
 六芒星を“発見”したのは、一関修紅高校講師、学習塾経営の傍ら趣味で山歩きと神社巡りをしている一関市の金田渉治さん。観音山(儛草神社)に登って夕日を眺めていたとき、ちょうど日没地点が達谷窟毘沙門堂であることに気づき、寺社同士をつなぐラインや角度を調べ始めたといいます。かねて奥州の豪族・安倍氏と、陰陽師・安倍晴明の関係に関心があり、結界の存在を疑っていた金田さん。書物を読んだり現地を歩いたりしながら数年がかりで探ったところ、北から左回りに白山神社(中尊寺境内)、達谷窟毘沙門堂、三嶋神社、鹿嶋神社、滝神社、儛草神社をつなぐ六芒星を見いだしました。中央に東北最古といわれる配志和神社がぴったり収まることは、3年前にブログで発表後、読者に指摘されて気づいたそうです。
 
戦乱期を前にした平安期?
 
 では、果たして誰がこの結界を築いたのでしょうか。「6割妄想、4割真面目」という金田さん説によると「やはり平安中〜後期の安倍氏では」。当時は陰陽師が政治に関わっていた時代。六芒星の北には安倍氏の拠点(衣川柵)があり、六芒星が見晴らしのいい高台、北上川沿い、街道沿いにあるのは、防衛拠点としても意味がありそう。六芒星の外側には源氏ゆかりの神社が点在。源頼義・義家親子と激戦を繰り広げた前九年合戦を前に、結界を張ったり、崩そうとしたりした陰陽道での駆け引きがあったのかも…と考えたくなります。
 
地域を知るきっかけに

 新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年春。まだ岩手で感染者が確認されていなかったときに同市の観光業・イーハトーブ東北代表の松本数馬さんは「六芒星の結界が岩手を守っている」とブログで話題提供し、反響を呼びました。「以前から金田さんの六芒星説を面白いと思っていましたが、コロナという“敵”が迫っていた状況だっただけにインパクトが増したのでは」と松本さん。同社では関心の高まりに応えてホームページを開設。土地勘がないと行けない場所もあることからツアーを計画し、地域の魅力発信につなげています。

 六芒星は史実としては確かめようもありませんが、歴史ロマンはたっぷり。「私は霊能者ではありませんが」と断りつつ、「巨石や神社には“気”のようなものがあると思いませんか」とほほ笑む金田さん。「六芒星がいにしえの東北人の信仰を見直し、地域のことを知るきっかけになれば、神様たちも喜ぶのではないでしょうか」と話しています。


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■おしゃれなデザインの六芒星アクセサリー(写真)が登場。
 神社めぐりの記念に。世界遺産平泉・一関DMOが運営する一関市駅前の一BA(いちば)で販売中。

■詳しく知りたいという人のため、イーハトーブ東北が六芒星ホームページを公開。
 https://ihatovtouhoku.com/hexagram/

■六芒星ツアーは9月27日に開催予定。詳しくは下記または同社ホームページへ。
 〔問〕イーハトーブ東北 ☎0191・26・0015

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