涙と笑い 境内に活気 男児が泣き相撲 東和・三熊野神社【花巻】
花巻市東和町北成島の三熊野神社(小原明宮司)で19日、恒例の泣き相撲が催された。秋の例大祭に合わせた特殊神事で、秋晴れの下、地元ゆかりの男児が出場して元気な泣き声を境内に響かせた。
全国から男女を問わず出場者を募る春の観光イベントと異なり、地元ゆかりの1歳男児に出場が許される。新型コロナウイルス感染症の影響で今春のイベントが中止され、泣き相撲は1年ぶり。
十二番角力式として北方、南方6人ずつの計12人が白いはんてんに鉢巻き姿で父母に抱かれて土俵入り。検査役や出場者への祝杯行事など古式にならった儀式を経て6番の取組を進めた。
かみしも姿の親方に抱えられた男児が「ヨォー、ヨォー」の掛け声とともに土俵中央で顔を付き合わせ、先に泣いた方が負けのルール。取組前から大泣きする子や親方に渡された途端に泣き出す子、きょとんとした表情を変えない子などさまざまで取組ごとに周囲を沸かせた。
元気な泣き声を披露した同町町井の薄衣哲ちゃん(1歳6カ月)の母で保育士の陽子さん(42)は「上の子2人も春の大会に出たが、一番泣いたかも。元気で思いやりのある子に育ってくれれば」と願った。
十二番角力は、802(延暦21)年の同神社創建時に坂上田村麻呂が部下に相撲を取らせたのが始まりとされる。しばらく若者が対戦していたが、約300年前に氏子の数え2歳長男に改められた。1988年からは春場所として全国大会が盛大に開かれている。