北上・西和賀

香り高きセリ 継承へ種植え 住民有志ら【北上】

セリの種植えとして圃場に根を並べる住民=北上市幸町

 「春の七草」の一つ、セリの植え付けが北上市幸町の帰帆場公園内で行われている。住民有志が栽培するセリは、かつて湿地帯だった地域の「和野セリ」として人気があり、後世に残そうと作業に励んでいる。

 一帯は豊富な湧き水を生かしたセリ栽培が盛んだったが、宅地開発と区画整理により衰退。住民の強い要望に加え「湧き水との共生」をテーマとした同公園整備(1995年完成)に際し、セリ田の一部が残された。

 市管理の公園のため収穫物は販売できないが、セリ田の存続を望んだ住民の家族ら4戸が栽培を継承。5月に苗を植えて9月になって約1メートルに伸びたセリを圃場(ほじょう)から引き上げ、そろえて束ねる作業を進めた。

 さらに種に用いる良質な部分を選んで20センチほどに裁断。4連休に合わせ、水を抜いた圃場に重ならないように並べる作業に汗を流す。20日は6人が圃場に出て種植えと一部残ったセリ上げ作業に当たった。

 2週間ほどすると根が張り、芽も出てくるといい、12月には収穫して正月用の鍋やてんぷら、しゃぶしゃぶなどで味わえるという。

 有志の一人、同市幸町の片方金吾さん(81)は「せっかく苦労して残してもらったセリ田。香りが良く最高においしいセリが絶えないよう若い世代が引き継いでほしい」と願う。

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