黄金色に輝く実り 住民らが手刈り 骨寺村荘園遺跡【一関】
世界遺産平泉の関連資産として拡張登録を目指している一関市厳美町の骨寺村荘園遺跡で27日、恒例の稲刈り会が開かれ、地元住民らが全て手刈りで収穫作業に汗を流した。収穫したコメの一部は、年内に中尊寺(平泉町)に届けられる。
稲刈り会は、地元住民でつくる本寺地区地域づくり推進協議会(五十嵐正一会長)が主催し、16回目。同荘園はかつて中尊寺の経蔵別当の所領として経済的に支えていたという歴史を踏まえて開催されている。
例年は市内外から大勢の参加者を集めて行われる収穫作業だが、今年は新型コロナウイルス感染防止のため、地元住民ら関係者に限定して作業が行われた。地元団体や市、市教委などの関係者、岩手大の学生ら合わせて約80人が参加した。
開会行事であいさつした五十嵐会長は「7月の長雨で生育が心配されたが、平年並みの作柄が期待されている。実りの秋を十分に堪能し、楽しく稲刈りをしていただきたい」と参加者に呼び掛けた。
勝部修市長も「一年間を通じてこの地で地域住民が一体となって行事に関わってきていることは、世界にも例がない素晴らしい活動だ。(拡張登録までは)なかなか時間がかかるが、精いっぱい取り組んでいきたい」とあいさつした。
参加者は、遠西遺跡周辺と不動窟前の各水田に分かれて刈り取り作業。春に植えた「ひとめぼれ」と「金色(こんじき)の風」を鎌で一株一株刈り取り、束ねてホニオに掛けた。
日ごろからさまざまな地域活動に関わっているという岩手大農学部2年の門傳春菜さん(21)は早乙女姿で参加し、「イベントだから楽しい作業だが、これが仕事であれば大変な作業ですね」と苦笑い。時折ぬかるみに足を取られ、バランスを崩しながらも懸命に作業に取り組んでいた。
12月には収穫したコメを中尊寺に納める「米納め」の行事が行われる。