北上・西和賀

特定空き家 解体着手 市内初 略式代執行で 旧北上文化服装専門校校舎

北上市初の「略式代執行」で解体撤去作業が始まった旧北上文化服装専門学校の建物=28日午前、同市花園町

 北上市は28日、危険な空き家「特定空家等」に認定していた同市花園町1丁目の旧北上文化服装専門学校校舎の解体撤去作業に着手した。相続放棄で所有者がおらず、市内初の「略式代執行」で撤去することとし、年度内に作業を終える見通しだ。

 建物は校舎と居宅を兼ね鉄骨、鉄筋コンクリート造り陸屋根4階建ての床面積734・55平方メートル。1969年新築、72年に増築され、2006年3月まで使われた。11年3月の東日本大震災で外壁が剥がれ落ちるなどの被害があった。13年5月に所有者が死亡し相続放棄されたがその後も外壁が崩れ、地域住民から市に相談と早期解体を望む声が寄せられていた。

 市は20年6月、市空家等対策審議会の答申を受け、建物を市内2例目の特定空家等に認定。市中心部に位置し大規模な建物だけに、市は住民や通行人の安全確保へ早期撤去が必要と判断。所有者がいない建物で市が代わりに解体する略式代執行の手続きを取り、解体工事を発注した。解体事業費は当初の見込みよりコンクリート量、分別処理費が増加し約5400万円。

 28日は、現地で市都市計画課の鈴木善一課長が代執行開始を宣言。工事関係者は早速、フェンスやブロック塀の撤去に着手した。今後、工事が本格化し21年3月1日の完了を予定している。

 鈴木課長は「万が一、コンクリート片が歩行者に当たった場合は大変なことになるだけに、除却することにした。本来は所有者が処分すべきだが、相続人がいないので、やむを得ず市で代執行することにした」と説明する。

 建物全部と土地の3割は死亡した所有者の持ち分。市は解体後、財産管理人制度を活用して売却し、解体費用に充てる方針。土地の残る7割は借地で、所有者は前市長の伊藤彬氏(80)。伊藤氏は「いつまでも放置する訳にはいかず、市に協力していく」と語り、市に土地を買い取ってもらった上で、その代金を市に寄付する意向を示している。

 北上文化服装専門学校は服飾専門校として、3000人以上の卒業生を送り出した。06年4月に校名を変更し同市本通りに移転したが、若者の裁縫離れもあり11年3月に閉校した。

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