伝統の風景 次代へ継承 有志ら金山棚田で稲刈り【一関】
一関市内の若者有志で組織する「いちのせきシェア農園」(櫻井陽代表)は3日、同市舞川の金山棚田で稲刈りを行った。親子ら地域住民も参加し、昔ながらの手作業を楽しみながら汗を流した。
金山棚田(延べ面積約40アール)は、江戸時代後期に開墾されたといわれ、昔ながらの農村景観を今に伝える。所有者の金山孝喜さん(82)=同市舞川=が高齢を理由に2019年を最後に作付けを断念したことを受け、今年から同農園が作付けを引き継いだ。
稲刈りには、同農園メンバーや地域住民、市内外からの一般参加者合わせて約50人が参加。今年作付けされた50枚のうち約35枚の棚田で、ひとめぼれと、スペイン料理のパエリアなどに使われるボンバ米を鎌を使って刈り取った。
家族と参加した佐藤颯希さん(8)=舞川小学校2年=は「鎌で刈るのは楽しい。自分で刈ったコメを食べてみたい」と笑顔を見せた。
知人に誘われて初めて参加した会社員の加藤宙国さん(34)=同市萩荘=は「田んぼの造形や風景はこうした手作業を経てつくられるんだと感じた。歴史や背景は分からないが、昔からある景観は貴重だと思う」と話した。
櫻井代表(28)は「1年目なので分からないことが多かったが、いろんな人にお世話になりながらここまでこられた。これからも農業の楽しさを伝えていきたい。いろんな人が訪れるようになってほしい」と語った。
金山さんは「若い人たちが集まり、にぎやかでいい。元気をもらえる。今後も引き継いでやっていってもらえれば」と継承を願っていた。
同農園では11月3日に脱穀し、新米でパエリアを作る予定。新米は販売するほか、一年を通した棚田の作業風景などの動画の制作と公開も計画している。
同農園は棚田の保全や活用などに取り組むプロジェクト「PlayFarm(プレイファーム)」の参加者を募集している。問い合わせは櫻井代表=090(3123)0841=へ。