一関・平泉

全国川サミット きょう一関で開幕

 「黄金(くがね)花咲く北上川~悠久の歴史と未来~」をテーマにした第29回全国川サミットin一関(全国川サミット連絡協議会、一関市実行委主催)は、16、17の両日に一関市で初めて開催される。首長サミットをはじめ、NPO法人北上川サポート協会や大原小学校6年生らが川との関わる取り組みを紹介する事例発表などを行い、川がもたらす恵みと人々との関わりを見つめ直す。

 サミットは、1級河川と同じ名前やその流域にある全国の自治体で組織する同協議会が毎年、構成自治体の持ち回りで開催している。本県では初めての開催で、北上川源流の岩手町から河口の宮城県石巻市まで流域18市町でつくる実行委が主催する。

 初日は、午後2時30分から一関市山目のベリーノホテル一関で全国の首長ら関係者による同協議会の総会、高村裕平氏(国土交通省水管理・国土保全局河川環境課長)の講演、「我がまちの川との関わり」をテーマに首長サミットなどが行われる。関係者のみが参加できるため、一般の入場はできない。

 最終日は、午前9時から正午すぎまで同市大手町の一関文化センターで開会式、事例発表(北上川サポート協会、大原小6年生、街づくりまんぼう)、防災キャスター阿部清人氏による記念講演「防災サイエンスショー~楽しく科学・伝える防災」などが繰り広げられる。2日間を締めくくるサミット式典では、サミット宣言の採択とサミット旗の受け渡しが予定されている。一般の入場も可能で、入場無料。

悠久の流れ永遠に 本紙で北上川企画連載
▲「千古不易 悠久の流れ 北上川」最終回(2020年10月15日付)

 岩手日日新聞社は2020年、「千古不易(せんこふえき) 悠久の流れ 北上川」を年間テーマに掲げ、新年号で特集を掲載したほか、北上川に架かる橋や川と関わる人、流域を洪水から守るダムや遊水地を連載で紹介した。

 流路延長249キロ、流域面積1万150平方キロに及ぶ東北最大の河川・北上川。岩手町に源を発し、本県のほぼ中央部を北から南に流下。一関市の狭窄(きょうさく)部を経て宮城県に入り、登米市で旧北上川と流れを分け、追波湾で太平洋へと注ぐ。

 北上川が文献に初めて登場するのは鎌倉時代の史書「吾妻鏡」の文治5(1189)年9月27日条の「麓に流河ありて南に落つ。これ北上河なり」という記述。緩やかな流れは今も変わらず、明治の時代に鉄道が開通するまで都市間の物資輸送に大きな役割を果たし、江戸へコメを運ぶ大動脈として流域に多くの恵みをもたらした。一方で幾多の水害をもたらし、人々に厳しい試練も与えてきた。

 水害常襲地帯として知られるのが一関市狐禅寺から下流約28キロの北上川狭窄部。両岸に低い山が迫り川幅は狭い場所で100メートルほどしかなく、大雨が降ったり、台風が襲来したりすればたびたび洪水になった。

 特に甚大な被害を出したのが1947年のカスリン台風と48年のアイオン台風。2年連続で襲来した台風は一関で死者573人、流失家屋約600戸もの未曾有の被害をもたらした。

 河川改修は古くから行われてきたが、戦後は流域の発展を目指し1950年政府が策定した北上特定地域総合開発計画(KVA)を基に御所(盛岡市)、四十四田(同)、田瀬(花巻市)、湯田(北上市)、石淵(奥州市)の5大ダムや一関遊水地(一関市、平泉町)の整備が進んだ。近年は2013年に石淵ダムを再開発した国内最大級のロックフィルダム・胆沢ダムが完成。一関遊水地事業も近く完了の見通しで、かつてのように多くの人命が失われる水害は減ってきている。

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