奥州・金ケ崎

鉄瓶ゴジラに栄誉 「Casting of the Year賞」受賞 革新技術を評価 及富製造【奥州】

Casting of the Year賞を受賞した及富の及川代表取締役(中央)と「南部鉄瓶ゴジラ」を持つ菊地専務(右)。左は日本鋳造工学会の清水会長

 奥州市水沢羽田町宝生の及富(及川一郎代表取締役)が製造した「南部鉄瓶ゴジラ」が、日本鋳造工学会(清水一道会長)の第9回「Casting of the Year賞」を受賞した。受賞は全国で2点。南部鉄器のイメージをはるかに突き抜けたアイデアと形状で見る者の感動を呼び起こし、鋳造の世界に革新を与えると評価された。及川代表取締役(68)は「ここまでいろいろな商品を提案してきたが、名誉ある賞の受賞は社員一同の励みになる」と喜びを語っている。

 同賞は、同工学会が鋳造分野の研究開発担当者の開発意欲を高め、鋳造業界全体の活性化に寄与する目的で2012年度に創設。新たな形状・寸法、新材質、新プロセスによって製造販売された鋳物の中から選定される。同市内では、17年度に「IH炊飯ジャー用南部鉄器内釜」で水沢鋳工所が受賞している。

 今回受賞した南部鉄瓶ゴジラは、同社の菊地章専務(63)が発案。1954年の映画「ゴジラ」に出演以来、ゴジラシリーズ6作品に出演した俳優宝田明さんが総合プロデューサーとなり、実現した南部鉄器とゴジラのコラボ商品。ゴジラ初上映と宝田さんの芸能生活が65周年となる19年4月に、65個限定で発売。鉄瓶としてはIHにも対応しており、頭から水を入れてわかした湯は鼻から注げる。

 表彰式は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため清水会長が受賞企業を訪問する形となり、28日に同社で行われ、清水会長が及川代表取締役に表彰盾を手渡した。

 清水会長は「ゴジラのひだなどを再現するのは高度な技術。それによって社会にも業界にも貢献する製品だ」と高く評価している。

 同社によると、南部鉄瓶ゴジラは発売以来22体が売れたという。及川代表取締役は「ゴジラを見て育った世代なりの魅力が出せた」とし、開発に当たった菊地専務は「伝統と革新をどう混ぜ合わせるかを考えながら、いろいろな連携でゴジラらしくできた」と胸を張る。

 菊地専務は「子供たちにはこの町にもびっくりするような物、夢のある物を作っている大人がいることを知ってほしい。これをきっかけに工場に遊びに来て鉄を溶かすところを見てほしい」と、次の世代を担う子供たちにメッセージ。及川代表取締役は「東宝さん、宝田さん、うちの屋号『南部宝生堂』、三つの宝が組み合わされて素晴らしい栄誉をいただいた」と笑顔を見せていた。

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