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「おらおらでひとりいぐも」 “老い”への希望描く 監督・沖田修一、原作・若竹千佐子

沖田修一監督(左)と原作者の若竹千佐子=東京都千代田区

 独り暮らしの高齢女性の内面をユーモアたっぷりに描き、“老い”を独特の視点で見詰め直した遠野市出身の若竹千佐子の芥川賞受賞作「おらおらでひとりいぐも」が映画化された。メガホンを取った沖田修一監督は「普遍的テーマを持った作品。さまざまな年代の人がいろいろな角度で見られる不思議な映画になった」と語る。

 主人公は、子供の手が離れた矢先に夫に先立たれた75歳の桃子さん(田中裕子)。ある日、突如湧き上がった“心の声”により、孤独だった生活がにぎやかな毎日に変わっていく。

 「一人の中に大勢がいて、実は合議制で動いてるんじゃないか。そういう人間観を描いてみたかった」と若竹は語る。「孤独の中にも豊かな討論があり、老いはちっとも寂しくないと自分に言い聞かせ、人にも訴えたいという気持ちでした」

 一方、映画化のオファーを受けた沖田監督が意識したのは「どうすれば一人の人間の心の中の出来事を、温かみのある方法で表現できるか」。豊かな語りなど原作の魅力を大切にした上で、桃子さんが抱える寂しさなど心の声を“擬人化”。心の声同士の軽妙な掛け合いや、桃子さんの脳内で繰り広げられるディナーショーなど、映像ならではのにぎやかな仕掛けを施すことで、不安や寂しさを受け入れ前に進む一人の女性の力強さが一層鮮やかに立ち上がった。

 原作も映画も、老いることへの希望をにじませる仕上がりは変わらない。若竹は「いろんな体験を経て、自分をどう奮い立たせて生きていくかは誰もが持つ問題。桃子さんの姿を通じて、年を取るのって楽しいよと伝われば」と語った。【時事】

▲「おらおらでひとりいぐも」の一場面。田中裕子(右)は15年ぶりの主演作となる

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