春夏秋冬 きょうから12月【一関】
木々の葉が落ち、寒さが身に染みる12月。幽玄の景色が広がる渓谷で舟に揺られていると日に日に慌ただしさを増す年の瀬というのも忘れてしまいそうだ。
一関市東山町の名勝・猊鼻(げいび)渓では11月21日から雪見舟の運航が始まり、1日からはこたつをしつらえたこたつ舟が繰り出す。新型コロナウイルスの影響で日本百景の名所も今年は3月から5月にかけて舟下りの長期休業を余儀なくされるなど苦労が多かったが、「来年こそは」と船頭のさおを持つ手にも力がこもる。
「清き流れの砂鉄の川に 舟を浮かべてさおさせば 曇り勝なる心の空もネ 晴らして呉れます獅子ケ鼻」。コロナ禍にあって世情は曇りがちだが、船上で船頭が歌う「げいび追分」に心洗われるようだった。