まんまるママいわて 子育ての悩みに助言 相談事業スタート 助産師や保健師ら【花巻】
新型コロナウイルスの感染拡大で、妊産婦や乳幼児を持つ母親らが悩みを共有する機会が減っている。市町村によっては両親学級や子育てイベントも中止になり、「ママ友」もつくりづらい状況。女性たちに寄り添おうと対策に乗り出したのが、花巻市を拠点に産前産後ケア・サポート事業を行うNPO法人「まんまるママいわて」(佐藤美代子代表理事)だ。助産師や保健師、看護師ら専門職が、対面や電話、オンラインで多様な内容の相談を受け付ける事業を今月から本格的に始めている。
「単語がまだ出てこない」「トイレトレーニングはいつから?」「ご飯をあまり食べず体重が増えない」―。同団体が運営する同市下幅の産前産後ケアハウス「まんまるぽっと」。8日に対面相談が行われ、同市と紫波町の親子2組4人が育児にまつわる悩みを吐露した。
看護師や助産師の免許を持つ佐藤代表理事(42)と、同じく助産師の本舘真梨子さん(37)が対応。「今どきおむつが外れる年齢が遅くても問題はない。焦らないで」「大きくなってるから問題ないよ」などとアドバイスしていた。
お茶を飲み子供たちを自由に遊ばせながら、気軽に話せる温かな雰囲気の中、約2時間語り合った。
同市矢沢の和泉幸子さん(42)は、長女の芙弥ちゃん(2)の首が据わる前から、同団体による育児サロン「まんまるサロン」を利用していた。夫と3人暮らしで、家事と育児をほぼ1人でこなす。「娘の体重について悩んでいるが『大丈夫だよ』の一言で救われる。育児について赤裸々に相談できる人はなかなか周りにいないので、初心者マークの母親にとっては助かる」と、ほっとした表情を見せた。
同ハウスを利用したのは、2019年(4~11月)197組、20年(同)296組で、昨年と比較すると今年は100組ほど増加。特に7月からの利用率が上がっており、佐藤代表理事は「新型コロナで不安をあおられる母親が増えている」と指摘する。
母乳トラブルで病院にかかりたくても、発熱していると断られるケースもあるなど孤独感をさらに増幅させ、産後うつにつながりかねず「育児に余裕がなくなると、虐待までいかなくても泣き声に追い詰められて『赤ちゃんを怒鳴ってしまった』との話も聞く。地域の子育て支援施設などへ足を運びづらい今、母親のSOSに気付くため、うまくつながって人に吐露できる状況をつくり続けたい」と話す。
相談事業は、仙台市の公益財団法人「地域創造基金さなぶり」から受けた20年度「休眠預金を活用した新型コロナウイルス対応緊急支援助成」の750万円で実施。週5件を目安に21年4月まで続ける。10月26日から内々で始め、既に30組ほどの相談を受けた。
妊産婦だけでなく、予期せぬ妊娠をした女性や更年期の悩みなどさまざまな相談に応える。一人3回程度までで、県内在住者を対象としているが住所は問わず、里帰り出産の人でも可能。電話・オンラインは無料だが、対面の場合は内容に応じてお茶代や実費が必要(学生無料)。
電話や無料通信アプリ「LINE(ライン)」(ID:780yapsy)、メールで相談日時と方法の希望を聞く。電話は=090(2981)1135=。
アドレスは次の通り。