寒風きりり深まる滋味 萩荘で凍み豆腐天日干し作業【一関】
一関市萩荘の千葉敬一さん(78)方で、年末恒例の凍(し)み豆腐作りが始まり、地域住民が作業に精を出している。一斉に干された凍み豆腐の寒風になびく光景が地域に本格的な冬の訪れを告げている。
凍み豆腐は、1846(弘化3)年に宮城県の岩出山に出稼ぎに行った住民から地域に代々受け継がれてきた保存食。市内で作っているのは現在、150年ほど前から作り続けて7代目の千葉さん方一軒のみとなった。
今年は11月中旬から棚作りなどの準備を進め、今月1日から豆腐作りを開始。県産大豆「ナンブシロメ」を使用し、硬めに仕上げて熟成させた4センチ×7センチの豆腐をイグサで一つ一つ編み込み、庭に設けた棚からつるして、表面に粉がふく程度まで1週間から10日ほど天日干しにする。気温が低いほど凍み豆腐作りには良いとされ、太陽光に当てながらゆっくりと乾燥させることでうま味が増すという。
12日も早朝から近隣住民が千葉さん方に集まり、イグサで豆腐を編み込んだり、棚につるしたりといった作業に追われていた。今月20日ごろから順次出荷し、県内のスーパーや市内の道の駅などで販売される予定。
千葉さんは「暖冬だが、ここ最近やっと寒くなってきたので何とか順調にいけそうだ。鍋物にすると肉や野菜のうま味が豆腐に染みておいしい」と話していた。