北上・西和賀

「真草千字文」日本一 鈴木さん(北上翔南3年)大臣賞 学生書道展高校部門

全日本学生書道展高校部門で最高賞を受賞した鈴木さん(北上翔南高文化祭出品作)

 創立70周年記念全日本学生書道展(日本書道教育学会主催)高校部門で、県立北上翔南高校3年の鈴木美紅さん(18)の「真草千字文」が最高賞の文部科学大臣賞を受賞した。細字で難解な字も含め約320字を書き上げ、文字を強い線で表現。持ち前の集中力と根気を発揮し、日本一を射止めた。

 鈴木さんはもともと細かい作業が得意で、小学校時代から硬筆が好きだったという。高校で書道部に入部。漢文で四文字熟語を繰り返す「真草千字文」に出合い、本格的に取り組んだ。

 一行に30~40字、時間をかけて大きさと文字のバランス、線の強さに細心の注意を払って書き上げる。難解な字、画数の多い字も多く、最初の頃は字が大きくなりがちでバランスにも苦慮。1文字でも失敗すればそれまでの苦労が台無しになるだけに、「心が折れそうになった」こともしばしばあったという。

 難解な字は何度も練習。失敗を繰り返し、文字のバランスや線の強さも徐々に改善した。書き始めると止まらず、「少しだけ書こうとして、気がつけば4時間過ぎていたこともあった」とのエピソードもあり、普段の練習でより高い集中力、根気を培ってきた。

 「一つ一つの作品を気を抜かず、丁寧に書くよう心掛けてきた」と語り、今回の作品は1カ月ほど要して仕上げた。「1年生の頃より線が強くなっている。納得いってない部分もあるが、手応えは十分だった」と振り返る力作で、高校部門で全国603点の頂点に立った。

 最高賞受賞には「初めての大きな賞で、知らされた時は驚いた。自分が努力してきたことが認められてうれしい」と素直に喜びを語る。

 書道部顧問の横田朗子教諭は「本人も思い入れがあり、今書ける最高の作品だったと思う」と絶賛。3年生唯一の部員として「背中で後輩たちを引っ張ってきた。後輩も鈴木さんの姿を見て取り組み、いい影響を与えている」とたたえる。

 今回の受賞作のほか、今月上旬に校内開催した文化祭には3年間の集大成となる大作も出展。「書道は好き。書道を通じたつながりを大切にし、卒業後も千字文を続けていきたい」と目を輝かせている。

 鈴木さんら各部門の受賞作は2021年1月4~10日に東京都美術館で展示される。

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