北上・西和賀

拡張地払い下げ キオクシアへ 市道川原町南田線用地も 北上市

 北上市は半導体大手・キオクシアの2棟目以降の製造棟立地に向け、北上工業団地拡張地と、同団地を通る市道川原町南田線を含めた用地を同社に払い下げする方針だ。同市道は花巻市とJR北上駅東口方面を結ぶ主要幹線路だが、同社の拡張には必要と判断。6月からは代替路として、現在市道として整備中の同団地東部道路と飯豊14号線に切り替わる。

 同社は同工業団地内に立地する子会社・キオクシア岩手の2棟目以降の製造棟建設に備え2020年12月、隣接地を市などから取得する方針を表明。市は、拡張した同工業団地約11・5ヘクタールと併せて、現在の製造棟と同社拡張予定地を挟む市道川原町南田線の600メートル区間、約1・25ヘクタールも売却する。

 交通への影響が大きい主要幹線路の払い下げは異例。キオクシアの申し出を受け、市商工部は「次なる投資を早期に呼ぶ込むため必要な事業用地と判断した。一体的に誘致してきた県も同意しており、一大事業所を集積できる。代替路も確保できている」と売却理由を説明する。接続工事のため、5月から600メートル区間を通行止めとする。

 市は18年度、東部道路(両側歩道、全幅16・5メートル)と飯豊14号(片側歩道、全幅13メートル)を着工。両路線を合わせた1キロ区間は今年5月完成、6月1日の開通を予定している。

 切り替われば、これまで一本だったルートがキオクシア岩手南側の2カ所で右左折が必要となり、多少遠回りとなる。市は「ご不便をおかけするが団地内企業や周辺住民、市民に丁寧に広報していきたい」(商工部)と理解を求める。県も、県道北上東和線の約240メートル区間を払い下げする方針。切り替えのため2月1日から同区間を通行止めとする。

 市は、今月下旬の市議会1月臨時会議に工業団地拡張地の売却契約に関する議案を提出。3月通常会議で東部道路と飯豊14号線の市道認定の議決を受け、周辺企業や住民に周知する。6月通常会議に川原町南田線市道廃止、7月臨時会議に同路線払い下げの議案を提出する方針。

 キオクシアは今春から造成工事に着手し、22年春に完了予定。2棟目の具体的な建設時期については「市場動向を見極めながら検討していく」としており、市商工部は「複数棟立地を視野に、求められるインフラ整備に万全を期していきたい」との姿勢を示している。

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