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認知症改善に新物質 カイコ冬虫夏草から抽出 盛岡のベンチャー 神経細胞など相互作用促進【岩手】

認知機能を改善させる新物質について説明する鈴木氏

 盛岡市の岩手大発ベンチャー・バイオコクーン研究所(首藤拓也代表取締役社長)は28日、カイコのさなぎで育成したキノコの一種「カイコ冬虫夏草」から抽出した新物質が認知機能の改善などに積極的に働き掛けることを確認したと発表した。脳機能改善による認知症などへの効果が期待される。

 岩手大、大阪市立大、九州大、岩手医科大との共同研究で確認した。

 新物質は環状ペプチドの構造をしている「ナトリード」。同研究所はこれまでに、養蚕技術を活用したカイコ冬虫夏草の抽出液が脳の海馬を修復する効果があることを証明している。この抽出液に含まれる無数の物質の中から効果が高いとみられる物質を構造決定し、ナトリードと名付けた。

 同研究所などは今回、培養細胞を使った実験でナトリードが神経細胞そのものの成長促進や保護、抗炎症などの機能で神経細胞を支えるグリア細胞の増殖を促すなど、脳内で多様に働き掛けていることを明らかにした。

 また、老化が進んだマウスを使った実験では一定量のナトリードを一定期間経口投与すると、認知機能の一つである空間記憶が回復する効果が認められ、毛髪に付いた傷が修復される結果も得られた。

 この成果は28日、国際学術誌「PLOS ONE」に論文として掲載された。

 同研究所のグループは現在、認知症患者を対象とする臨床研究も進めており、神経細胞とそれを支えるグリア細胞の相互作用を促進する役割を担うナトリードが、ヒトにも効果を発揮することに期待している。

 中心となる岩手大名誉教授で同社代表取締役フェローの鈴木幸一氏は「健康食品、医薬品の両面でナトリードを育て、脳疾患への貢献や人間の脳の発達を支えるものにしたい。また、世界の研究者と一緒になり、脳疾患だけでなく、さまざまな問題解決にも生かしたい」としている。

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