乗合タクシー運行 胆沢地域の代替交通 奥州
奥州市胆沢地域の県交通バス路線が4月1日で再編され、「南都田地区センター」「まごころ病院」「高橋」の3カ所を結節点として結ばれる「(仮称)胆沢水沢線」となる。再編により市役所胆沢総合支所から西側は県交通のバス路線がなくなることから、代替交通として事前予約型乗合タクシー事業を実施する。事業は同日から小山地区、南都田地区、若柳地区、愛宕地域の振興会が主体となって1年間の試験運行し、23年度の本格運行を目指す。
同事業については、3日に市役所江刺総合支所で開かれた第3回市地域公共交通会議で協議した。会議ではこのほか、▽県交通の馬留線、広岡線、小山線の再編▽衣川コミュニティバス運行の一部見直し▽衣里線の試験運行▽小谷木橋架け替えに伴う運行経路の変更―が議題。
再編は、第3次市バス交通計画に従った3路線の整理統合。拠点となる3カ所で結ぶ形になり、北回り(南都田経由)と南回り(小山経由)が7便ずつ。それぞれ胆沢地域から水沢地域に行く左回りと、水沢から胆沢へ行く右回りで、水沢駅前と胆沢病院を結ぶ区間で重複部分もある。
運行は平日のみで同市、県交通は「通勤・通学、通院などにも配慮した時刻設定」とし、運賃は同市の基準で最大500円となる設定。
再編に伴って県交通広岡線沿線と市道供養塚折居線から西側の地域が公共交通不便地域となる。代替手段について、市と4振興会、胆江地区タクシー業協同組合が協議、検討し、振興会が事業主体となって予約型乗合タクシーを運行することで合意。利用者の聞き取り調査などを経て運行内容を決めた。
運行内容によると、運行事業者は同組合に所属する奥州いさわタクシー。小山13カ所、南都田5カ所、若柳6カ所、愛宕14カ所の指定乗降場所を設定し、小山と南都田は1週間に3回で1日当たり6便、若柳と愛宕は月~金曜日で1日当たり4便運行。利用には振興会への事前登録が必要。利用前日に各振興会に予約し、振興会が同社に連絡。同社は運行ルートを設定して返信、振興会は利用者に確認連絡する仕組みになる。
再編から1年間は試験運行して見直しながらより良い運行形態を検討し、本格運行に移行する。胆沢地域では無料の「患者輸送バス」が運行されているが、乗合タクシー事業と統合する方針。利用者にとっては無料から有料になるが、同市としても丁寧に説明し理解を求めるという。
同事業について同会議の委員でもある、小野寺功・小山地区振興会長(82)は「必要なことで促進していかなければならない。住民の足を守るのが最重点だと肝に銘じ頑張りたい」と話している。
同市では、同事業について岩手運輸支局に認可申請する。認可までの間に各振興会で行う事務や受け入れなどについて内容を詰めていくという。