海賊版 経済、文化に悪影響 弁護士が著作権問題解説 市民大学法学部【北上】
2020年度北上市民大学ゼミナール法学部(市、市教委主催)は5回コースで市生涯学習センターで開かれている。3回目の10日夜は著作権トラブルをテーマとした講話で、参加者は海賊版の違法性とその影響の大きさを学んだ。
日高法律事務所(同市)所長の日髙拓郎弁護士が講師を務め、今年度は36人が受講。1月下旬から相続問題、消費者トラブルをテーマに市民向けに講話し、3回目は20人が聴講した。
日髙弁護士は、著作権について「作った人、生み出した人が持つ権利。絵を描き、写真を撮った時点でその人の著作権になる」と説明。海賊版について「法律上の権利者に無断で発売、流通した非合法なもので、著作権法に違反して複製された漫画や小説、書籍、音楽CDなどをいう。制作者が時間やお金を費やし苦労し創作した作品を盗んだのと変わらず、海賊版が流通すると正規品が売れず新しい、面白い作品が世に出なくなる」と指摘した。
さらに「海賊版はインターネットでの流通が大半だが、無料で見られることで例えば日本の誇るべき漫画、アニメは輸出できなくなり産業が育たず、ひいては国力が落ちる。海賊版が出回ることで日本の経済的被害は甚大で、文化の発展にも深刻な悪影響を及ぼす」と重大さを強調した。
著作権法改正で、今年から海賊版と知りながら意図的、積極的にダウンロードすれば違法になると説明。「単に視聴、閲覧で違法とはならないが、間接的に海賊版を奨励していることになる。正規版と海賊版は一見、区別がつきにくいが、怪しいものは見ないこと。海賊版は読まない、買わない、売らないを徹底すべきだ」と語った。
市販のCDを購入し自身の店で音楽を流す行為、購入したDVD映画の無料上映会が著作権法違反か適法か具体的に解説し、参加者は熱心に聞き入った。
3月3日は多重債務トラブル、10日は成年後見制度をテーマに行われる。