一関・平泉

“沈黙”は美味なり 注文、接客 指さし筆談 世嬉の一酒造 14日までイベント【一関】

黙食イベント「沈黙カフェ徳蔵」で注文を受ける店員。言葉は発さず、客が指差したメニューを筆談で確認する
新メニューの一つ「ベジバーガー」。肉を一切使わず、大豆ミートを中心に一関産の野菜が取り入れられている

 一関市田村町の世嬉の一酒造(佐藤航代表取締役社長)は11日、会話による飛沫(ひまつ)で新型コロナウイルスに感染しないように食事を楽しんでもらおうと、黙食イベント「沈黙カフェ徳蔵」を始めた。14日までの期間限定で、蔵造りのカフェに音楽と映像を流し、客も店員も言葉を発さずに過ごす。新しいメニューとして地元の食材を使ったハンバーガーセットを開発・販売してテークアウトも行い、コロナ禍でも安全な飲食店の在り方を探っていく。

 黙食イベントの会場は、世嬉の一酒造内のカフェ「The Brewers Ichinoseki By tokuzo(ザ・ブリュワーズ バイ トクゾウ)」。客は入り口で検温と手指消毒を済ませた後、レジでメニュー表を指さして注文する。テーブルには飛沫防止のアクリル板と、筆談用のホワイトボードが設置されており、会話しなくても意思疎通を図れる。スタッフが厳選した音楽と映像が流れる中、蔵造りの趣ある雰囲気に浸れる。

 黙食イベントに合わせて開発されたメニューは、「ベジバーガー」と「いわいどりチキンバーガー」。ベジバーガーは肉を使わず、大豆ミートを中心に一関産のピーマン、シイタケなどを取り入れた。いわいどりチキンバーガーは、一関市室根町の鶏肉生産加工販売業オヤマが扱う県産の銘柄鶏「奥州いわいどり」と、一関特産の「曲りねぎ」を使用した。2品ともフライドポテト、ドリンクとセットで税抜き1000円。持ち帰りにも対応している。

 初日は午前中だけで11組が来場。一人のほか友人同士、家族連れなどさまざまで静かに過ごす姿が見られた。盛岡市から訪れた北田友子さん(56)は「面白い試み。複数で来ている人が多いことに驚いた。新製品のチキンバーガーがおいしかった」と感想を記した。

 佐藤社長によると、新型コロナの影響で各地の飲食店が打撃を受けている中で、同社の飲食・カフェ部門も厳しい状況にある。打開策をスタッフと協議した結果、首都圏の店舗で流行している黙食イベントをカフェでやってみようと企画し、地場産品を使ってテークアウトできる食品の開発にも挑戦した。

 佐藤社長は「カフェで食と音楽、映像を楽しみながら、ゆっくり過ごしてもらいたい。まず4日間やってみて今後の展開を考えたい」としている。営業時間は午前10時~午後4時(ラストオーダーは3時)。問い合わせは同社=0191(21)1144=へ。

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