一関・平泉

わかくさ号 来月引退 運行32年、新車両と交代 一関・移動図書館車 関連展示、送別会も

32年間の運行を終了する4代目の移動図書館車「わかくさ号」。3月6、7日に送別会が開かれる
移動図書館車「わかくさ号」の写真展。担当職員の長谷川さんによって車体に描かれたイラストを紹介している

 一関市立一関図書館の移動図書館車で4代目の「わかくさ号」は、老朽化などで新車両に交代するため、3月18日で運行を終了する。32年間にわたって市内を巡回し、市民に読書の楽しみを届けてきた。長年の思い出を振り返る機会として、2月21日まで車体イラストの原画展と写真展が行われ、3月6、7の両日には送別会が予定されている。

 一関図書館の移動図書館車は、旧一関市時代の1959年5月に車を借り受けて行われたのが始まり。4代目の「わかくさ号」は89年9月から運行されているマイクロバスで、約2500冊の蔵書を積んで一関地域11コースを巡回し、本の貸し出しや返却などのサービスを提供してきた。車内には本棚が作り付けられていて企画展もあり、図書館までなかなか出掛けられない市民に利用されてきた。

 同図書館では「32年間ありがとう わかくさ号」と題し、会計年度任用職員の長谷川あゆみさんが車体に描いてきたイラストの原画展と写真展を開いている。

 イラストはクリスマスや七夕など季節に応じたものや、運行30周年を童話や昔話の登場人物が祝福しているもの、2020年2月に急逝した伊藤清彦副館長をしのんだものなど、さまざまなデザインがある。水で消える絵具を使って丁寧に描かれ、ほのぼのとした雰囲気が見る人を和ませる。

 わかくさ号に10年以上前から乗ってきた長谷川さんは「車体に絵を描いてしまっていいのかと思って最初は抵抗があったが、みんな喜んでくださって良かった。ここ1年ほどは修理に出す機会が格段に増えていたので、本当にお疲れさまという気持ち」と振り返る。

 来月6、7の両日には同市大手町の一関図書館前広場で、4代目の「わかくさ号」の送別会が開かれる。車内の見学や本の貸し出しを受け付けるほか、運行計画・しおり・ブックカバーが配られる。来場者が車体に絵を描くこともできる。

 同館主事兼司書の森美沙希さんは「わかくさ号の利用者は常連が多く、生の声をすぐ聞けるなど職員との距離が近い」と移動図書館車ならではの利点を語り、「32年間も走り続けてきたので、子供の頃に利用した人や、親子で訪れた人もいると思う。最後に一瞬でも見に来て懐かしんでもらいたい」と呼び掛けている。問い合わせは同館=0191(21)2147=へ。

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