奥州・金ケ崎

正法寺の至宝公開 禅僧肖像、開山遺物など きょうから特別企画展 えさし郷土文化館【奥州】

正法寺の寺宝の数々を紹介するえさし郷土文化館の特別企画展

 奥州市江刺岩谷堂字小名丸のえさし郷土文化館が主催する特別企画展「雅静の美 正法寺の至宝を巡る」は、24日から同館で開かれる。東北地方の曹洞宗の本山として宗門の発展と文化の形成に中心的役割を果たしてきた正法寺(同市水沢黒石町)にスポットを当て、通常は非公開の貴重な寺宝を公開。大型観光企画・東北デスティネーションキャンペーン(DC)とも連携し、豊かな奥州の歴史に触れる機会を提供する。

 正法寺は1348(貞和4)年に開山。永平寺、総持寺と並ぶ曹洞宗の本山となり、奥羽での一門の興隆の礎となった。江戸幕府が本山相当の格式を取り消した後も、仙台藩が庇護(ひご)。現代にも禅の修行道場として引き継がれ、日本最大級のかやぶき屋根を持つ国重文の法堂など貴重な文物が伝わっている。

 展示は、正法寺が東北DCの特別企画で展開している秘仏本尊・如意輪観世音菩薩(ぼさつ)坐像の開帳に合わせて企画した。普段は宝物庫に収蔵されている物を中心に借り受け、県の文化財を含む117点を展示。期間中に入れ替えながら公開する。

 このうち、正法寺を開いた無底良韶が自らを描いた肖像は県の有形文化財。県内の禅僧の肖像では最古で、生前の面影をよく伝えているとされる。また開山遺宝は、無底の遺物など開山当時の気風を伝える宝物群。この一つの両面厨子入二明王像は無底の護持仏とされる。

 現在は禅宗として知られる曹洞宗だが、当初は密教特有の明王を祭るなど祈祷(きとう)も取り入れ、民間信仰と融和を図り勢力の拡大につなげたことがうかがえるという。

 開催に先立つ23日は同館で報道関係者らに向けて内覧会が開かれた。同館の野坂晃平学芸員は「開山から670年以上を超えて地域の宗教や文化の拠点となり、曹洞宗を東北に広めた意義は大きい。秘仏を公開中の正法寺と補い合う展示で、地域郷土の文化への関心を持ってほしい」と来場を呼び掛けた。

 期間は9月26日まで。入館料は一般300円など。期間中は同館と歴史公園えさし藤原の郷、正法寺の半券を提示することで各地で拝観の割引を受けられる。

 問い合わせは同館=0197(31)1600=へ。

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